CST®抗体の約60%が、コールドチェーン輸送ではなく常温輸送されていることをご存知でしたか?この取り組みは、2029年までに温室効果ガスの排出量ネットゼロを達成するという弊社の気候目標の一環であり、その影響は非常に大きいものです。
コールドチェーン輸送は、リソースを大量に消費し、温室効果ガスの排出量は常温輸送に比べて2倍以上と推定されています。さらに、発泡スチロール (EPS) 製の保冷箱やドライアイス、保冷剤、多層断熱材などの資材から生じるさらなる廃棄物も問題となっています1-3。これらの資材は、リサイクルが困難なだけでなく、保管のために研究室内の貴重なスペースを占有し、埋立処分場でも多くのスペースを占有します。
CSTは、サプライチェーンから使い捨ての発泡スチロールを排除しました。すべての製品において、リサイクル可能で堆肥化可能、または返却可能な梱包材を使用しています
CSTは、初めて常温輸送を実施した抗体メーカーであり、この取り組みは2006年から実施されています。弊社は、20年以上もの経験に基づき、CST抗体が常温輸送でも長期間にわたり安定性を維持し、実験で期待通りに機能することを保証しています。
また、CSTは、製品カタログに含まれるすべての試薬について安定性試験を実施する唯一の抗体メーカーです。弊社は、この重要な安定性試験を、販売開始前にすべての抗体製品で実施しているため、抗体の性能を保証することができるのです。

さらに、弊社は、製品の常温輸送の際には100%リサイクル可能な梱包材を採用し、ラベルの印刷には大豆インクを使用します。コールドチェーン輸送が必要な場合は、EPSの代わりにClimaCell Thermal Linersを使用します。この紙ベースの資材は、優れた断熱性を持ち、1包装あたりの温室効果ガスの排出量を35%削減します。ClimaCellを用いることにより、CSTは毎年、埋立地に送られる24,000立方フィート以上の発泡スチロール製梱包材を削減し、二酸化炭素換算で60メートルトン近くの温室効果ガス排出量 (MTCDE) を削減しています。
また、弊社は、製品パッケージを最適化し、使用する資材と発送用の箱のサイズを最小限に抑えています。場合によっては生分解性の製品バッグも使用します。これにより、より効率的な輸送を実現し、研究室での梱包材の廃棄物や保管スペースを削減することを目指しています。
「サステナビリティと優れた科学を両立するためにできることは、すべて実施します。リサイクル可能な梱包材の使用や常温輸送は、二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献しています。」
~ Seneca Stone (グローバルサプライチェーン本部長)
以下では、弊社に寄せられた、サステナブルな発送への取り組みと抗体の安定性に関する一般的な質問に対する、CSTのグローバルサプライチェーンオペレーションの本部長Seneca Stoneによる回答を紹介します。
常温輸送とは何か?
常温輸送とは、室温 (室内と似た15°Cから25°Cの範囲) での製品の輸送を指します。温度管理は、特定の生物学的試薬や化学物質、実験用消耗品などの資材の輸送時に必要になります。
近年、コスト効率の良さや環境負荷の低減、物流の簡便さから、常温発送がより一般的になっています。輸送中に冷蔵または冷凍の必要があるコールドチェーン輸送とは異なり、常温輸送では、検証済み製品の完全性を維持するための余分な梱包材を必要としません。
なぜCST製品の大半が室温で出荷されるのか?
CSTは、最高品質の抗体を提供していることに誇りを持っており、その品質を維持するために安定性試験を行っています。弊社製品の多くの抗体は、短期間の輸送であれば常温でも安定であり、コールドチェーン輸送を必要としません。
実際、弊社抗体のおよそ60%が冷却されることなく輸送されています。約39%の製品が冷蔵輸送を、1%以下が冷凍輸送を必要とします。
どのようにして抗体の安定性に最適な輸送条件を決定しているか?
各CST抗体は、実際の輸送状況を想定した熱安定性試験を受けています。この試験では、サンプルを−20°C、室温、37°Cの3つの異なる温度で1週間保管します。その後、温度による性能への影響を試験して評価します。
例えば、Phospho-p44/42 MAP Kinase (Thr202/Tyr204) Antibody #9101は、3種類のどの温度で1週間保存しても、一貫した性能を示します。

抗体が室温で届いたとしても、それらの抗体は熱安定性試験を受けており、期待通りに機能するためご安心ください。詳細については、CST抗体の安定性試験の結果をご覧ください。
暑い真夏の常温輸送による、抗体の安定性への影響は?
夏の間は、輸送の際に製品が高温に晒されます。ましてや、近年の気候変動により世界各地の気温が上昇しているため、安定性に懸念が生じるのも無理はありません。そのため、CSTの安定性試験には、考えうる最大温度を想定した37℃ (98.6°F) で1週間という保管条件が含まれています。また、年間気温の上昇による気候関連リスクの増大の監視に注力し、ピーク時の気温による潜在的な影響を評価し続けています。
テキサス州ターンブルへの出荷時の試験データ例を示しています。出荷中に外気温は37°C以上に達しました。なお、製品の最高温度は33℃でした。
CSTは先日、製品がこの閾値を超えていないかどうかを確認するため、輸送中に達する最高温度のモニタリングを行いました。この試験は、高温になることで知られている米国の一部の都市で、夏期に実施されました。24時間の輸送中、試験したパッケージはいずれも37℃を超えることはありませんでした。
なぜ出荷ごとに輸送温度が異なるのか?
輸送温度は、ご注文いただいた製品の組み合わせによって異なります。ご注文いただいたすべての商品が常温輸送検証済みの場合は、保冷剤なしで出荷されます。しかし、冷蔵輸送を必要とする製品が1つ以上含まれる場合は、研究室に到着するまで2℃から8℃に保たれるように設計された梱包材で出荷されます。
いつもは常温輸送される製品が、保冷剤の入ったパッケージで届く理由は、一緒に注文された製品が輸送中の温度管理を必要とするためと考えられます。
常温輸送された抗体を室温で保管しても良いのか?
多くの場合、抗体の常温での長期保管は、抗体の分解を招く恐れがあるため推奨されません。受け取った各抗体のデータシートを確認し、適切な温度で保管してください。大半の抗体の保管温度は−20°Cですが、4°Cが適している抗体もいくつかあります。正しい保管温度は、バイアルにも記載されています。
各CST抗体のデータシートは、各製品ページでも入手可能であり、お使いの抗体の適切な保管温度を簡単に特定またはダブルチェックできます。
なぜすべての製品をコールドチェーン輸送しないのか?
すべてをコールドチェーン輸送することは、重要なサステナビリティの機会を損なうことになります。様々な輸送条件下での抗体安定性を検証することにより、CSTは最高の製品品質を維持しつつ、資材の無駄と温室効果ガスの排出を削減しています。常温輸送は、安全なだけでなく、責任ある科学と責任ある環境活動に対する弊社の取り組みを反映した意図的な選択です。
CSTのサステナビリティへの取り組み
製造方法から輸送手段に至るまで、サステナビリティを優先するサプライヤーを選ぶことにより、各研究室における環境負荷低減への取り組みを大きく後押しできます。常温輸送は、時間をかけて徐々に効果が得られる段階的な取り組みの一例ではありますが、やがてはより広範で長期的な良い影響を環境に与えます。
CSTは、1% for the Planetのメンバーとなり、地球の生物多様性の保全や気候変動の緩和、地球の保護に貢献する非営利団体に年間総収益の1%を寄付することを誇りに思います。
- CSTの製品性能保証の詳細はこちらをご覧ください
- CSTの2024年社会と環境へのインパクトレポートをダウンロードして、CSTのサステナビリティに関する詳細をご覧ください
- 研究室を環境に優しい空間にするために役立つさらなるヒントについては、こちらのブログ記事をご覧ください:よりサステナブルな研究室のための4つの重要な領域
参考文献
- Bertolini, M., Bottani, E., Rizzi, A., & Bevilacqua, M. (2016). "Comparative Life Cycle Assessment of Packaging Systems for Fruit and Vegetables Transport in Europe." Journal of Food Engineering, 170, 170-179.
- Tähkämo, L., Halonen, L., & Tetri, E. (2012). "Energy consumption and environmental impact of refrigerated transport in food supply chains." International Journal of Sustainable Engineering, 5(2), 154-165.
- U.S. Environmental Protection Agency. Documentation for greenhouse gas emission and energy factors used in the waste reduction model (WARM). www.epa.gov/sites/default/files/2020-12/documents/warm_containers_packaging_ and_non-durable_goods_materials_v15_10-29-2020.pdf


