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細胞プロセス:アポトーシスを検出するための7つのアッセイ

筆者:Tamar Aprahamian, PhD | Jul 1, 2020

アポトーシスは、プログラム細胞死の高度に制御された一形態のことで、多細胞生物の発生において生涯を通じて、および細胞ストレスに応答して起こります。核凝縮、細胞収縮、膜ブレブ形成、およびDNA断片化は、この形の細胞死の間に発生する細胞乖離の特徴です。カスパーゼと呼ばれるタンパク質酵素のファミリーは、アポトーシスとその活性の中心的な調節因子としての役割を果たし、一方で多数の追加的なアポトーシス促進性タンパク質と抗アポトーシス因子によってバランスがとられます。アポトーシス制御異常は、自己免疫疾患、神経変性疾患、がんなどの病態で発生し、寄与します。したがって、アポトーシスがどのように、またなぜこのような生物学的プロセスに影響を与えるかを理解することは、治療方法の前進に繋がりヒトの健康に利益を与えます。

代謝を測定するために、どのアッセイが使えますか?

アポトーシス性細胞を検出するための方法が複数開発されている一方、適切なアッセイの選択は目的の実験モデルで行ったときの感度と特異性の影響を大きく受けます。例えば、細胞懸濁液のAnnexin V染色は、アポトーシスの初期に脂質二重層に起こる変化を、フローサイトメトリーにより効果的に特定することができます。しかし、このアッセイは結果の定量化と解釈がより困難であることが多いため、未変化の組織サンプルには不向きです。代わりに組織切片における検出には、従来の免疫組織化学染色法による切断型caspase-3と核酵素poly (ADP-ribose) ポリメラーゼ (PARP)などのアポトーシスのその他のマーカーの方がより適しています。

一般的に、アポトーシスアッセイはアポトーシス経路の活性化を示唆する複数の細胞イベントを検出する目的で設計されています。上記のマーカーのほか、DAPIHoeschst 33342などのDNA染色色素によるクロマチン凝縮の可視化もアポトーシス検出法の1つです。 また、TUNEL (Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling) 法 によるDNA鎖の切断や断片化の検出、シトクロムcのミトコンドリアから細胞質への放出の検出などもよく利用されています。さらに、細胞の健康の主要なインジケーターであるミトコンドリア膜電位は、この消散はミトコンドリアの非活性および機能障害との相関性があるため、アポトーシスの初期のインジケータとして確立されています。 これは、細胞透過性陽イオン色素TMRE (テトラメチルローダミン、メチルエステル) とインキュベートした後に行うことができます。TMREは通常、健康な未変化のミトコンドリアに蓄積します。したがって、ミトコンドリア膜電位に障害が起きると蛍光強度が低下します。これはアポトーシスを介しての細胞死の後の場合と同じです。

インタラクティブパスウェイ図アポトーシスの制御

アポトーシスは通常一過性のプロセスであるため、発生を確認するには複数の方法の実施を頻繁に要します。同様に、複数のマーカーを使用すると特定のモデル系でのアポトーシスの動力学について詳しく知り、壊死など細胞死のその他の形態と区別することができます。逆に言えば、アポトーシスのプロセスを活発に阻害する細胞生存シグナル伝達カスケードを研究することによって、実験モデルで作用している細胞死の機構の範囲を完全に理解するために必要な情報が補完されます。例えば、PI3K/Akt経路を介しての成長因子とサイトカインの誘導によるシグナル伝達は、アポトーシス促進性のBcl-2ファミリーメンバーであるBad、Bax、Caspase-9、GSK-3、FoxO1の抑制およびBcl-2などの抗アポトーシス性タンパク質のアップレギュレーションを引き起こします。細胞死と生存促進シグナル伝達カスケードの間のバランスが、アポトーシスのアッセイの大半の焦点となっています。

細胞死やアポトーシスの機構、またこれらのプロセスの評価に役立つアッセイに関する追加情報は、CSTウェブページの細胞死経路をご覧ください。

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