細胞株は、ライフサイエンスにおける研究や開発で重要な部分を占めています。しかし、ラボの細胞株の約18-36%は、誤って同定されたり、他の細胞株とクロスコンタミネートしたりしていると考えられていることをご存知でしたか?
誤って同定された細胞株が論文や臨床試験で問題となることが増えてきており、通常は発表前に認証が求められています。これは、研究資金の提供機関も強く勧告していることです。現在、NIHの研究助成金の申請書には、認証計画に関して問う部分があります。この必要事項に関しては、このNIHからの通知を読むか、ガイドラインの含まれる学術誌の詳細リストをここからご覧ください。
でもなんと、簡単な解決方法があります。STRプロファイリングによる細胞株の認証は、現在培養している細胞が本当に思った通りのものであるかを、信頼性の高いデータで迅速に確認できる方法です。STR、つまり縦列型反復は遺伝的プロファイルを作成するために使用できる短いDNA配列です。確かめたいサンプルのSTRプロファイルと、細胞株の参照データを比較することにより、手元にある細胞株が本当に遺伝的に適合しているかを知ることができます 。STRプロファイル参照データは、主要な細胞リポジトリのウェブサイドにあるデータベースから得ることができます。
ラボでのSTR解析の実行方法には、いくつか異なるオプションがあります。まず、評判の良い会社を探し、その後で細胞の少量のサンプルを採取します。ラボの大半が凍結、新鮮または乾燥細胞ペレット、またはゲノムDNAサンプルを受け付けています。もっと簡便な方法として、郵送依頼書に細胞をスポットし、解析結果を送り返してもらう方法などがあります。最終的に、その会社にデータを解析してもらうか、ご自分で解釈するかを選択することができます。これらは価格にも違いがありますので、ご自分のラボでこのプロセスを開始するにはどれが一番良いかよく調べてからお決めください。
STRプロファイリングはヒト細胞株にしか使えませんが、マウスマーカーを含める試験機関も一部あります。どのマウス細胞株かは分かりませんが、マウス細胞株があってはならないところにあればそれは少なくとも教えてくれます。
細胞株の継代を単純に継続していくと、遺伝子ドリフトや環境への適応が起き、そうすると細胞は元来のものとは全く異なるものとなることがあるので、この技術は非常に重要です。以下に細胞株の同定を行うべき重要な段階を示します:
CSTは、再現性を高める取り組みの促進のため、細胞株認証を何年も前から行っています。弊社の細胞レベルにまで及ぶ検証により、安心して製品をご購入いただけます。
細胞株の認証を行えば、何時間も何か月も、それどころか何年もの時間かけて行った作業と研究が、たった1つの細胞株の誤った同定やクロスコンタミネーションのために無駄になるということが避けられます。ご自分の研究が、再現性がないまたは進展させられないと気づく前に、今すぐ対策を取ることをお勧めします。これが重大な問題であるということにまだ確信できないようでしたら、世界中のラボで培養されている、全て同じであるはずなのに、実際には同じではない、様々なHeLa細胞のことを考えてみてください。
そして他のすべての検証と同様に、抗体を検証するのに、1つのアッセイでは不十分であることにご留意ください。
PMID: 18072586