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細胞のスクリーニングと定量ツール

心臓研究に打ち込んでいる人も、神経変性疾患の研究に興奮している人も、感染症研究の幾多の試練に耐えている人も、がん細胞を止めるためにいかなる労力も惜しまない人も、一見簡単そうな次の疑問を解消する必要があります。「サンプル中にどのくらいの量の標的タンパク質が存在するのか?」

標的ごと、この疑問を解消するため、特定の状況に最も適した測定法が必要で、様々な要因を考慮する必要があります。「全体的な科学的疑問は何でしょうか?」「どのくらいの数の、どんなタイプのサンプルを測定するのでしょうか?」「1つの標的を測定するのでしょうか?あるいは多数の標的を測定するのでしょうか?」「大まかな (定性的な) 測定結果と非常に正確な (定量的な) 測定結果のどちらが必要でしょうか?」「高感度アッセイは必要でしょうか?」「サンプル間の標的のダイナミックレンジはどのくらいでしょうか?」「セットアップに何ヶ月も必要なプロジェクトでしょうか?それともより簡便な方法を利用すべきでしょうか?」「プロジェクトの実行に必要な設備は整っているでしょうか?」

 

多岐多様に渡る方法があり、それぞれに長所と短所があります。質量分析のように解析対象のタンパク質を直接測定する方法もあります。これには、探索のプロジェクトに有効なグローバルプロテオミクスと、選択したタンパク質を高感度に定量するターゲットプロテオミクスがあります。質量分析は非常に強力なツールですが、他の方法に比べて複雑な設備やワークフロー、サンプル調製、解析が必要になります。このほかの解析方法の場合、標的タンパク質に特異的に結合する分子 (多くの場合は抗体) を用い、この結合を利用して間接的に標的の測定を行います。

 

例えば、古くから利用されているウェスタンブロットは、タンパク質レベルを可視化する基本的な手法で、ほとんどの研究者に慣れ親しまれています。局在や細胞種ごとの発現などの情報が必要な場合は、フローサイトメトリーや免疫組織化学染色 (IHC)、免疫蛍光染色 (IF) など、より複雑な技術が利用されます。これらは特に、免疫細胞の不均一な集団や、様々なタイプの細胞で構成されるサンプル (組織など) といった、特定の細胞のみで標的タンパク質の変化が起こるサンプルの解析に有効です。多くの状況でこれらの技術は有用ですが、スループットが低い (ウェスタンブロット)、他の技術に比べて標的全体のレベルの定量性に劣る (フローサイトメトリー、IHC、IF) などの難点もあります。

 

大量のサンプル (細胞や組織の抽出液、血清、体液等その他生物学的液体) 中のタンパク質の高感度な定量が主な目的の場合、ELISAなどの免疫アッセイが非常に適しています。様々な種類の免疫アッセイがありますが、タンパク質レベルの測定にはサンドイッチELISAが多くの研究室で利用されています。この方法では、標的の異なるエピトープに特異的な2つの抗体でタンパク質を「サンドイッチ」にした複合体を形成させ、標識した酵素を利用してタンパク質レベルを測定します。ELISAは簡単で迅速に解析ができるので、頻繁に利用されるプラットフォームです。ELISAは特に、大量のサンプルの処理、簡便性、正確な定量が要求される、スクリーニングや薬剤応答性の研究 (化合物スクリーニング、治療薬の阻害曲線、患者検体における疾患の進行中や治療介入後のバイオマーカーの測定) に有効で、相対定量のほか、タンパク質標準を組み合わせることで絶対定量もできます。ELISAは、通常96ウェルまたは384ウェルプレートを用いた設定がなされるので、大量のサンプルを扱うことが容易ですが、ロボットによる自動化を組み合わせることでより高いスループットを実現することもできます。最も重要なのは、サンドイッチELISAが定量の絶対的な基準 (Gold standard) であると考えられていることです。サンドイッチELISAは高い特異性を維持しながら、他の技術 (ウェスタンブロットなど) よりダイナミックレンジが広く高感度です。このような利点の反面、サンドイッチELISAにはペアとして機能する高品質な抗体が必要で、その製造や最適化、検証により多くの時間と労力が求められます。また、従来のサンドイッチELISAは高度な多重解析 (マルチプレックス) には理想的ではありません。バルクサンプル (体液、細胞や組織の抽出液) 中のタンパク質の定量には適していますが、特定のタイプの細胞における局在や定量が要求される場合は、ワークフローに別の方法を組み込む必要があります。

 

新たなELISA関連アッセイ技術では、従来のELISAで使用されていた抗体や抗体ペアを活用して、従来からの強みである定量性を高めつつ機能を追加することができますが、通常は特殊な設備やより複雑な設定が必要になります。例えば、ラベルフリー検出 (表面プラズモン共鳴、抗体を酵素や蛍光色素で標識する必要がないグラフェンセンサー) や標識を用いた検出 (蛍光色素、DNAを利用した検出、近接誘導型検出) などの検出法の進歩や、捕捉抗体の新たな固定戦略 (ビーズの利用やスポット) により、感度やダイナミックレンジ、スループット、アッセイ速度、マルチプレックスの向上が可能になりました。

 

ELISA関連アッセイ技術は進化を続けており、新たな技術ではシングルセルやマルチオミクス (タンパク質、DNA、RNA) の解析の方向にまで進んでいます。ELISAフォーマットが単純であっても複雑であっても、アッセイの基盤となる抗体や抗体ペアには高い特異性と感度、検証が求められます。

 

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