査読とは、関連する学術分野の専門家が論文を独立して評価するシステムを指します。これは、学術誌に掲載される論文の質や妥当性、独創性を評価するものです。査読の最終的な目的は、科学の完全性を保持することであり、研究の質を評価する最も公正な方法の1つです1。
査読は、非常に重要であるにもかかわらず、若手研究者が査読について学ぶためのリソースが限られています2。本ブログでは、論文の投稿を控えている、または現在査読中の論文がある研究者に対し、査読のプロセスを理解し、査読を成功させるためのヒントを紹介します。
査読方法は学術誌によって異なり、単一匿名査読、二重匿名査読、オープン査読などがあります1。単一匿名査読は最も一般的なタイプの査読方法で、査読者は匿名ですが、論文の著者は開示されます。オープン査読では、著者と査読者の情報は全員に開示されます。最近では、著者も査読者も匿名の二重匿名査読に移行する学術誌も増えています。この二重盲検プロセスは、査読者側に生じる潜在的なバイアスの影響を軽減するために行われます。
査読プロセスは、主に10段階に分類されますが、これらのステップは学術誌により異なります。一般的には、プロセスの流れは以下になります。
投稿された原稿はまず、各学術誌の編集部により、著者向けガイドラインに準拠しているかどうかについて評価されます3。 次に、編集長が論文の質と目的、適合性を評価し、これらの基準に満たない論文はリジェクト (却下) されます。
学術誌の規模と組織にもよりますが、編集長、編集委員、編集幹事、編集アシスタントが査読を監督します4。 次に、担当編集者が適切な外部査読者に査読を依頼します。原稿は、必要な人数が確保されるまで複数の査読者候補に送られ、ほとんどの学術誌において最低2名の査読者が選出されます。原稿を受け取った査読者は、その専門性や都合、利益相反に応じて受諾するか辞退するかを決めます3。
査読者は、何回も時間をかけて原稿を読み、評価します。1回目の通読では、全体的な内容を確認します。その際に重大な欠陥が見つかった場合、査読者はリジェクトを選択できます。次に、2回目の通読で包括的な審査を行い、その後に意見を添えて学術誌に結果を提出します。
担当編集者は、査読者の意見を考慮した上で、アクセプト (採用) 、リジェクト、リバイス (修正) を決定します。査読者間で査読結果が大きく異なる場合には、最終的な決定を下す前に査読者が追加されることもあります。その後、著者に対し、何らかのコメントが添えられた審査結果通知のEメールが送られます3。 アクセプトされた場合、論文は最終的な品質チェックを受け、出版に向けた処理段階に進みます。リジェクト、あるいはわずかな修正や大幅な修正が必要な場合は、この段階で査読者からの建設的なコメントが伝えられます3。
このプロセスには微妙な違いがあり、特に影響力の大きい学術誌では、1回目の査読で論文が受理されることは非常に稀であることを覚えておいてください。通常、原稿は複数回の査読を受けます。どの段階であっても、査読者は、最終的に原稿をリジェクトしたり追加修正を要求したりすることができます。ある学術誌でリジェクトされた場合、著者は、別の学術誌に投稿するか、判定に不服を申し立てるか、修正原稿を再投稿するかを選択できます。
査読プロセスに要する期間は、学術誌によって異なります。決定までの平均的な時間は通常、各学術誌のウェブサイトに掲載されています。しかし、編集者から決定メールが届くまでに6-8週間はかかると予想されます。
査読者の選定は、論文投稿において非常に重要です。査読者の選定は、専門知識や評判、過去の業績、特定の人からの推薦、利益相反など、多くの要素に基づいて行われます5。 著者として意見を提供するよう促されることもありますが、最終的には編集者が査読者を決定します。
著者が、特定の個人を査読者の除外依頼を出すことを認めている学術誌もあります5。編集者はこれらの要望を考慮しますが、応じる義務はありません。
除外を希望された査読者が、実は真っ先に選出されるのではないかと一部の著者は考えているかもしれませんが、編集者は、意見を求めて時間を無駄にしたいとは思っていません。編集者は、実行可能である限り、査読者の除外依頼を真摯に受け止めます。例えば、厳しい査読者や専門的な知識を持つ査読者、批判的な意見を述べる査読者などを避けるための要望は受理されません。
各学術誌の編集部は、著者の研究を評価するのに最適な人物を特定できる立場にあり、競合する研究課題を持つ人や反社会的な人格を持つ人、過去に悪い印象を与えた人など、査読者を除外したい正当な理由がある場合が存在することを認識しています。
同様に、いくつかの学術誌では特定の査読者を推薦できます。編集者たちが、これらの査読者のすべてを選出するわけではありませんが、このような推薦は、査読プロセスを円滑にします。著者が推薦した査読者は、編集長が推薦する査読者に比べて、原稿をリジェクトするのではなくアクセプトを選択する傾向にあります6,7。そのため、編集者の多くは、何か理由がない限り、推薦された査読者へ依頼を出します。
編集者は、利益相反についての情報を知っておく必要があります。つまり、査読者と著者との間に、何らかの個人的、専門的、組織的なつながりがあり、査読者による客観的かつ公平な査読に影響を与える可能性があります。前述のいずれかに抵触する関係者がいる場合、著者はその関係者を除外査読者にリストアップしておくと良いでしょう。
著者として、編集部にとって有益となる様々な情報に基づいた査読者を推薦することにより、効果的で包括的な評価を確実に受けることができます。これは査読プロセスを迅速化するのに役立ちます。
研究室を指導する教授から博士候補者に至るまで、膨大なリストから査読者が選出されます。ここでは、適切な査読者を推薦するための良い例を紹介します。
各学術誌は通常、最低でも2人の査読者を選出いますが、4-5人の査読者を推薦するのが最適です。編集者に対し、多様で役立つ選択肢を与えることができるからです。この推薦は、編集者が検討中の査読者候補のリストを補完し、査読プロセスをより効率的に進めることができます。
6-7人以上の査読者を推薦すると、編集者による査読者決定のための手順が複雑になります。そのような場合、編集者は補完されたリストではなく、彼ら自身のネットワークから査読者を選出する可能性があります。
原稿が特に高度に専門的な内容である場合、内容の様々な側面における専門家を推薦します。特定の専門知識を持つ人と、内容についての一般的な理解を持つ人物を推薦すると、専門的な視点とより広い視点からの評価が得られるため、非常に有益です。
使用した参考文献のリストや他の刊行物を検索し、該当する研究分野において査読を希望する研究者を見つけます。専門家のネットワークから、共著者と関係者は最初に除外しておきましょう。その代わりに、懇意にしている他の専門家や、二次、三次的なつながりのある研究者を推薦します。推薦を行う際には、時間をかけて徹底的に調べることを忘れないでください。
キャリアステージや地域、民族、性別など、多様な査読者を推薦します。終身在職権のある教授は、貴重なフィードバックを提供してくれますが、同様の知見は、査読を通じて自分の意見を述べることに熱心なことが多い准教授やキャリアの浅い研究者からも取得できます。研究責任者または教授を査読者として推薦する場合、彼らは自分の研究室の博士研究員や大学院生に査読させる可能性があることに注意してください。
このように、高名な教授や研究者が査読者に最適であるとは限りません。彼らは査読に時間をかけることを望まず、しばしばリジェクトを選択します。編集者もまた、有名な研究者のことはすでに知っていると考えられます。そのため、編集者は、まだ一緒に働いたことのない、聡明かつ知見が豊富な査読者の発掘に大いに興味を持つ可能性があります。
様々な機関、分野、国から多様な査読者リストを提供することは、各コミュニティを結びつけ、原稿に対する独特な視点を得るための優れた方法です。学術誌の多くは、従来取り上げられることの少ないグループに属する査読者の推薦を奨励しています。
推薦する査読者と原稿の間の関連性が明白でない場合は、推薦理由を説明しましょう。簡潔で、1文または2文の簡潔な説明を用意します。査読者の研究とあなたの研究との関連性を明確にし、その査読者が貴重な意見を提供できる理由を説明する必要があります。
前述したとおり、共著者や関係者を推薦してはいけません。名誉教授 (多くの場合、Eメールによる依頼を拒否する、または返信しない) や投稿先の学術誌に雇用されている個人、また以前に推薦した査読者も避けるべきです。
理想的な査読者の候補は、原稿の少なくとも1つの側面について専門知識を持ち、その関連知識を明確に説明できる現役の研究者です。彼らは、素晴らしい業績をあげた研究者ではないかもしれませんが、研究に対して新鮮な視野を提供するに違いありません。最も重要なことは、彼らは著者としてのあなたと、個人的、専門的および組織的な関係性を持たないことです。
これらの基準を満たす個人の推薦により、査読プロセスを合理化し、アクセプトを掴み取る可能性を高めることができます。
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