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マルチプレックスの方法:複数のmAbを用いるIF染色 | CSTブログ

筆者:Tara W | Sep 13, 2017

1回の実験で複数の抗体を使うことにより、研究者は非常に有用な情報を得ることができます。複数の抗体と細胞内小器官などの染色用色素を用いた共染色は、簡単かつ負担の少ないマルチプレックス解析の1つです。細胞や組織におけるマルチプレックス解析技術は、一般的な細胞生物学研究だけでなく、診断目的にも適用可能な、強力な研究ツールです。これらの技術により、サンプルを複数のバイオマーカーで評価することができます。また、標的間の関連性を決定するための共局在性の解析を、簡単に行うことができます。

本ブログでは、同一のアッセイ内で、複数の抗体を用いた免疫蛍光染色 (IF) を行うための、2つの一般的な手法をご紹介します。

異なる宿主種の抗体を用いた間接IFプロトコール

以下は、異なる宿主種抗体 (例えば、ラビットとマウス) を用いた間接IFの一般的なプロトコールの概要です。実際のプロトコールは、特定の製品に推奨されるプロトコールによって異なりますのでご注意ください。

  • 固定/透過化処理
    • どちらの抗体についても結果が最良となるようにプロトコールを最適化
    • 各抗体を、個別に検討する必要あり
  • 洗浄
  • ブロッキング (二次抗体の非特異的な結合を防ぐ)
    • 二次抗体の宿主が同じ場合に最も効率が良い (例:ヤギ)
  • 各一次抗体を抗体希釈バッファーで推奨希釈率に希釈し、4℃で一晩インキュベート
  • 洗浄
  • 各蛍光標識二次抗体を抗体希釈バッファーで推奨希釈率に希釈し、室温で1時間インキュベート
    • 二次抗体はスペクトルがオーバーラップしない蛍光色素の組み合わせの選択が必要
  • 必要に応じて対比染色を行った後、褪色防止剤で封入

IF染色の間接検出法および異なる宿主種の抗体を用いる利点と欠点は以下の通りです:

長所

  • 蛍光標識一次抗体を用いた直接検出法よりも明るい
  • 標準的な蛍光染色プロトコールに似通っている
  • 一般的な試薬で実施可能で、特殊なイメージング装置も必要としない

短所

  • 使用可能な宿主の種類が限定される
  • 一次抗体とは別に、二次抗体のインキュベーションが必要

左:SNB19細胞をα-Parvin (D7F9) XP®Rabbit mAb #8190で染色しAnti-rabbit IgG (H+L), F(ab')2 Fragment (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #4412 (緑) で検出、また、Lamin A/C (4C11) Mouse mAb #4777で染色しAnti-mouse IgG (H+L), F(ab')2 Fragment (Alexa Fluor® 555 Conjugate) #4409 (赤) で検出、さらにDRAQ5® #4084 (青の疑似カラー) で染色しました。

中央:MCF-7細胞をAIF (D39D2) XP® Rabbit mAb #5318 で染色しAnti-rabbit IgG (H+L)、F(ab')2 Fragment (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #4412 (緑) で検出、またEpCAM (VU1D9) Mouse mAb #2929Anti-mouse IgG (H+L), F(ab')2 Fragment (Alexa Fluor® 555 Conjugate) #4409 (赤) で検出し、さらにDRAQ5® #4084 (青の疑似カラー) で染色しました。

右:MCF-7細胞をCaveolin-1 (D46G3) XP® Rabbit mAb #3267 を用いて染色しAnti-rabbit IgG (H+L)、F(ab')2 Fragment (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #4412 (緑) で検出、またKi-67 (8D5) Mouse mAb #9449で染色しAnti-mouse IgG (H+L), F(ab')2 Fragment (Alexa Fluor® 555 Conjugate) #4409 (赤) で検出、さらにDRAQ5® #4084 (青の疑似カラー) で染色しました。

異なる蛍光色素で標識された抗体を用いた直接IFプロトコール

以下は、異なる蛍光色素により直接標識された抗体を用いた直接IFの一般的なプロトコールの概要です。実際のプロトコールは、特定の製品に推奨されるプロトコールによって異なりますのでご注意ください。

  • 固定 / 透過化処理
    • どちらの抗体についても結果が最良となるようにプロトコールを最適化
    • 各抗体を、個別に検討する必要あり
  • 洗浄
  • 各抗体を希釈バッファーで推奨希釈率に希釈し;4℃で一晩インキュベート
  • 洗浄
  • 必要に応じて対比染色を行った後、褪色防止剤で封入

異なる蛍光色素で標識された抗体を用いた直接免疫蛍光染色法の利点と欠点は以下の通りです:

 

長所

  • 同宿主種抗体でのマルチプレックス解析が可能
  • 間接法よりも時間・コスト面で効率が良い (二次抗体がいらない)
  • 標準的な蛍光染色プロトコールに似かよっている
  • 一般的な試薬で実施可能で、特殊なイメージング装置も必要としない

短所

  • 二次抗体を用いる間接検出法よりも暗い (感度が低い)
  • 使用可能な蛍光色素によって限定される

成体ラット海馬をNeurofilament-L (C28E10) Rabbit mAb (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #8024(緑)、#3656 GFAP (GA5) Mouse mAb (Alexa Fluor® 555 Conjugate) (赤)、および#4639 α-Synuclein (D37A6) XP® Rabbit mAb (Alexa Fluor® 647 Conjugate) (青 疑似カラー) で染色。

 

追加リソース: 

 

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