CSTブログ: Lab Expectations

Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験中に起こると予測される事象や実験のヒント、コツ、情報などを紹介します。

抗体標識キットよりも標識サービスを選択する5つの理由

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マルチプレックス解析の増加に伴い、抗体標識の需要がますます高まっています。従来型またはスペクトル型フローサイトメトリーなどの既存のプラットフォームに用いるパネルのサイズが大きくなっているだけではなく、空間生物学用の革新的な技術の開発により、新たな免疫蛍光染色 (IF) および免疫組織化学染色 (IHC) でより多くの標的を同時検出できるようになってきています。今でも、蛍光色素や酵素、金属イオン、オリゴヌクレオチドで標識済みの抗体の需要は高いままですが、常にこれらの抗体が購入できる状態にあるとは限りません。

DIY (Do-It-Yourself) の抗体標識キットは、必要とする標識抗体のカタログ製品がない場合に、研究者自身による抗体の標識を可能にします。近年では、カスタム標識サービスよりも見かけの費用対効果が高いため、DIYの標識キットが普及しつつあります。しかし、現在市場に出回っているDIYの抗体標識キットには、作成した標識抗体が機能するという保証はありません。 

 プロジェクトのリスクを取り除き、発見を加速するために、CSTはカスタム抗体標識サービスの利用を検討されることを推奨しています。 

カスタム標識抗体とカスタム標識サービス

抗体標識サービスを推奨する5つの理由

DIYの標識キットを用いて自身で抗体を標識する場合と比較して、カスタム標識サービスには、コストの削減と実験時間の短縮、標識抗体の品質の高さ、より良い再現性などの多くの利点が存在します。

1. より正確な結果を取得できるより高い品質の標識抗体

標識抗体が、使用するアプリケーションにおいて最適な性能と一貫性を発揮するためには、標識を反応させた後に、未反応の構成要素を除去する必要があります。未反応の色素と未標識の抗体は、それぞれがアッセイのシグナルを人為的に増加または減少させる可能性があり、さらに下流の実験にかかる時間や試薬、サンプルを浪費してしまいます。

これらの問題は周知されているにも関わらず、多くのDIYの抗体標識キットのプロトコール中には精製のステップが含まれていません。このステップが欠けている場合、最終的に得られる標識抗体は、使用可能な抗体としての基準を満たさない品質であり、正確な結果が得られない可能性があることに注意が必要です。

精製ステップの重要性については、図1を参照してください。この図は、同じ抗体を用いてCSTがカスタム標識した場合と、DIYの標識キットで標識した場合を比較しています。DIYキットを用いた標識では、高いレベルの未反応色素がみられます。これは、偽陽性の原因となり、得られる結果に自信が持てなくなります。

CSTカスタム標識サービス対市販の抗体標識キットの性能

図1.CSTカスタム標識と市販の抗体標識キットの性能の比較。 CST法により標識したFGF Receptor 1 (D8E4) XP® Rabbit mAb #9740と、異なる2社が提供するDIYキットを用いて標識した抗体を、超高速液体クロマトグラフィー (UHPLC) で解析して比較しました。CSTの標識抗体は、弊社が行う生体共役化学の至適化と厳密な精製による未反応の色素と抗体の除去により、アッセイ結果に干渉する可能性がある高濃度の未反応色素とデブリを含む他社製品の標識抗体より品質が高いことが分かります。

 2. より高い再現性

多くのDIYの標識キットのプロトコール中には精製ステップが含まれないため、標識の度合い (DOL) の決定が困難であるという別の問題が生じます。そのため、標識抗体間の再現性を確認する方法がなく、実験が上手くいかなかった際に、どこで失敗したのかが分かりにくくなります。DIYの標識キットには、得られた標識抗体の性能の再現性を保証するための特性解析の方法がほぼ示されておらず、この事実が問題をさらに悪化させています。

CSTのカスタム標識チームのリーダーであるLisa Arvidsonが、「他社製品のDIYの標識キットをいくつか試験した際に、得られた標識抗体間で、最終的に得られる標識抗体や膨大な未反応色素の量にばらつきが見られました。これは、DIYの標識キットを使うたびに異なる標識抗体が得られ、それらが再現性のない結果につながることを意味しています。弊社のお客様からも同様の所見が報告されており、その中には、以前は成功した標識反応に完全に失敗することもあったという例もありました。」と述べています。

図2は、CSTの標識の専門家が取得した結果と、市販のDIYの標識キットで得られた結果の違いを示しています。

Alexa Fluor® 488 Antibody Labeling Kitの性能の比較

図2.Fluor® 488 Antibody Labeling Kitの性能の比較。3種類の異なる市販のDIY標識キットでFGFR1 (D8E4) XP Rabbit mAb #9740のAlexa Fluor® 488の標識反応 (精製ステップなし) を行いました。各キットで、標識抗体や未反応抗体、未反応色素の量が異なり、最終的に得られる標識抗体にばらつきがみられます。

3. 高い収量のためコストは低下

カスタム標識サービスを選択する最も大きな利点は、標識プロセス中に失われる抗体の料金を支払う必要がないことにあります。標識経験がある科学者が、キットのプロトコールに厳密に従った場合でも、DIYキットによる標識抗体の平均収量は、使用した抗体試薬の総量のたった30%でした。これは、研究に標識抗体を使用する以前に、かなりの抗体量を浪費してしまうことを意味しています。多くの抗体が、標識に進むために濃縮やバッファー交換を行う必要があり、コストがすぐに跳ね上がることも知っておいてください。

「単一のDIYキットは、標識サービスよりも安いかもしれませんが、時間や研究室のリソースの浪費を考慮しないとしても、最終的なコストは高くなる可能性があります。」と、Lisaは述べます。

4. 顕著な実験時間の短縮

標識反応には時として1日以上の時間がかかることもありますが、DIYキットを選択した研究者は、この時間だけではなく、標識が機能したことをさらに時間をかけて確認する必要があります。この時間には、実験の失敗が標識反応によるものか標識抗体によるものかを決定するためのトラブルシューティングが含まれることもあり、プロジェクトを数週間または数か月延長することになるかもしれません。

一方、カスタム標識サービスを利用した場合は、すでに標識に問題がないことが分かっているため、自身の特異的なモデルシステムの最適化に直ちに進むことができます。

「研究室のマネージャーは、一日の終わりに、自分のチームが標識抗体の作成ではなく実験をしていて欲しいでしょう。」とLisaは述べます。

5. ストレスを減らしてより確実な結果を取得

確実にアッセイの性能を発揮させるためには、DIY標識キットでは保証されていない、信頼できる標識抗体が不可欠です。カスタム標識サービスを選択することにより、研究者は性能が一貫した高品質の標識を毎回受け取ることができるため、実験システムから潜在的な変動要因を取り除けます。

「標識キットで作業する場合、失敗は許されないというストレスがかかる場合があります。大半のキットは、1回の標識にかろうじて足りるだけの試薬しか含んでいないため、もし失敗場合には、そのキットを捨てて新しいものを買う必要があります。一般的に、ほとんどのDIYの標識キットのプロトコールは複雑で時間がかかり、さらに標識に堪能でない科学者にはなじみのないものであるため、完全な標識抗体を得るまでにキットをいくつか使うことになるでしょう。」

 CSTのカスタム抗体標識サービスで研究を前進させてください

カスタム標識サービスは、DIYの抗体標識キットを使用するよりも多くの利点を有しています。これらの利点には、標識抗体の品質やより良い実験の再現性、より高い標識抗体の収量などだけでなく、時間とコストの節約も含まれます。

CSTは、多岐にわたるカスタム標識サービスを提供しており、そのすべてが研究用の高品質な試薬であることが保証されています。弊社が提供するカスタム標識サービスは、標準で精製ステップが含まれており、迅速な納期とより大きな容量に対応できる能力で、お客様のプロジェクトの前進をサポートします。

弊社のカスタム標識サービスの詳細をご覧になり、あなたのカスタム標識をご注文ください

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Alexandra Foley
Alexandra Foley
Alexandraは、CSTのサイエンティフィックマーケティングライターであり、Lab Expectationのエディターです。

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