第一回「前途有望な黒人科学者の表彰」の受賞者を発表できることを大変嬉しく思います。これは年に1度授与する賞で、今後も多くの優れた受賞者の表彰を期待していますが、初の受賞者を祝うことには特別なものがあります。
受賞者の選考のため、応募者は自身の科学を刺激したもの、ライフサイエンスへの進路を決定づけた経験、より包括的な科学界にどのように貢献していきたいかを、750語以内の小論文にまとめて提出しました。この小論文は個人の声、物語の質、内容と創造性、明瞭さに基づいて審査されました。この賞は、専門的な能力開発を支援する資金を提供することにより、障壁を取り除くことを目的としています。
Cell PressおよびCell Signaling Technology (CST) による前途有望な黒人科学者の受賞者の小論文は、Cell誌の2月号に掲載されます。受賞者であるハワード大学学部生のOlufolakemi「Fola」Olusanya氏 (@Fola_Olusanya) と、イェール大学博士研究員のChrystal Starbird博士 (@drstarbird) は、科学における黒人女性としての経験と、次世代の黒人女性科学者のためにより大きな支援を得られる未来を創造するという個人的な目標について雄弁に語っています。ライフサイエンス界をリードする黒人の声を集めた学術諮問委員会とCell Press編集チームによって審査され、応募された250件以上の中から選出された小論文です。
受賞者であるOlusanya氏とStarbird博士の小論文はCell誌で発表されるほか、CSTから10,000ドルの賞金と1,000ドル相当の科学資材が授与されます。
Olusanya氏は、彼女の小論文「Still we rise」において、「黒人女性は本質的に科学的である」と述べ、彼女の母親の台所で学んだ「プロトコール」と、黒人の髪に栄養を与えるために必要な科学物質、そして科学の名の下に行われた黒人女性に対する犯罪についても述べています。
現在、Olusanya氏はハワード大学4年生で、生物学を専攻し、副専攻として化学と心理学を学んでいます。彼女は現在、ハワード大学のKarl Thompson研究室およびバージニア大学のMaureen A. Carey研究室で仕事をしていますが、微生物学の博士号取得を目指しており、環境レイシズムがヒトのマイクロバイオームの構造に与える影響を研究したいと考えています。彼女は小論文で「私にできることを全て習得したら、次の世代の若手黒人女性に自分の科学を伝えていきたいです」と綴っています。
Starbird博士は、小論文「Transforming myself and academia for good」で次のように述べています。「科学は心地の良いものです。合理的で、貧乏でも裕福でも、太っていても痩せていても、白人でも黒人でも、誰にとっても答えは同じです。」彼女は大学に入学してすぐに「科学の学術世界は論理的ではない」ことが明らかになったと指摘し、聞いてもらい、信用を得て、評価されるために学術キャリアを通じて直面してきた課題について述べています。
Starbird博士は、ヴァンダービルト大学で生物物理化学分野の博士号を取得し、現在はイェール大学のKathryn Ferguson研究室でポスドク研究員として勤務しています。「自分の経験を正直に話すことで、将来の科学者に、彼らの人生で直面し得る障害に関わらず、彼らも科学のキャリアを積んでいけることを知って貰えれば幸いです。私たちが愛する科学をより公平で誰もが利用しやすいものにするために、皆で協力していくことができるようになることを願っています。」と彼女は小論文で述べています。
前途有望な黒人科学者の表彰を、今回初めて目にした方のためにご紹介すると、これは年に1度与えられる賞です。今年も後半に募集しますので、あなたの体験談も聞かせてください。
重要なお知らせ: Elsevier財団とのさらなるパートナーシップの締結により、前途有望な黒人科学者の受賞者は4名 (学部学生2名、大学院生/ポスドク2名) となり、さらに特別賞受賞者4名 (学部学生2名、大学院生/ポスドク2名) を選定することになりました。受賞者には10,000ドルの賞金に加え500ドルの旅費が、特別賞受賞者には500ドルが授与されます。詳細についてはCell Pressをご覧ください。