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ニューロンのマーカーとグリア細胞のマーカーの役割

中枢神経系 (CNS) は、高度に専門化した細胞で構成されており、それぞれが感覚や運動入力の処理に重要な役割を果たしています。 ニューロンはCNSの細胞の一種で、電気信号の伝達と処理に特化した構造をしています。成熟した神経細胞の検出と発現は、CNSの健康状態を理解する上で重要な役割を果たしており、このためにMAP2NeuNNeurofilament-HNeurofilament-LNeurofilament-Mの発現の観察がよく行われます。

凝集したタンパク質や長期的な刺激によって起こる慢性炎症は細胞にとって有害で、アルツハイマー病 (AD)、パーキンソン病 (PD)、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) などの神経変性疾患の発症への寄与を示唆する証拠が得られています。

ニューロンのほか、アストロサイト (星状膠細胞)、オリゴデンドロサイト (乏突起膠細胞)、ミクログリア (小膠細胞) といったグリア細胞 (膠細胞) が神経系を構築しており、これらによって適切な脳機能が保たれています。

ミクログリア

ミクログリアは骨髄由来の細胞で、発生中に中枢神経系に遊走する免疫細胞です。ミクログリアは多機能で、胚発生期に形成される複雑な神経ネットワークの剪定、シナプス可塑性の補助、神経伝達物質の放出に応答することで、興奮毒性を抑制する機能などがあります。また、マクロファージ様の性質を持ち、神経系に急性感染や外傷に対する炎症反応を備える機能もあります。ミクログリアを特定する特異的なマーカーには、Integrin alpha M (ITGAM/CD11b)、細胞表面糖タンパク質F4/80CD45iba1TMEM119があります。

病態において、DAM (disease-associated microglia) と呼ばれる特殊な遺伝子発現パターン (分子署名) を持つミクログリアが現れることが報告されています。DAMは二段階を経て成熟し、それぞれの段階に異なる特徴的なバイオマーカーの発現があります。第1段階では、TREM2 (Triggering Receptor Expressed on Myeloid cells 2) ApoEDap12が高発現し、P2ry12やTMEM119 (transmembrane protein 119) の発現が低く抑えられます。第2段階では、Osteopontin (Spp1)、CST7 (cystatin 7) が高発現します。

オリゴデンドロサイト

オリゴデンドロサイトは中枢神経系に存在するグリア細胞であり、軸索の髄鞘 (ミエリン鞘) を形成し、神経シグナルの伝導速度を促進します。オリゴデンドロサイトは、以下のようなミエリンファミリータンパク質の発現によって特定することができます:MOG (Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein)MAG (Myelin-Associated Glycoprotein)MBP (Myelin Basic Protein)

オリゴデンドロサイトの前駆細胞は脳に存在し、神経回路に損傷を受けた場合に速やかに増殖してオリゴデンドロサイトを補充し髄鞘を修復します。ミエリンの破損やオリゴデンドロサイトの補充が途絶えることで、ミエリンが量的に不足した場合や、質的に機能不全のミエリンが存在した場合に、AD、PD、ALSおよび多発性硬化症 (MS) などの神経変性疾患の発症率が亢進するという知見もあります。

アストロサイト

アストロサイトはオリゴデンドロサイトと同様、脳由来の中枢神経系のグリア細胞です。アストロサイトの特異的なマーカーとしてGFAPS100βがよく利用されます。

神経系におけるアストロサイトの機能には、神経回路の形成と発生の支持 (構造的な支持)、血流の制御 (血液脳関門中の内皮細胞の支持)、シナプス伝達とシナプス機能の支持、エネルギー供給と代謝 (ニューロンへの栄養の供給や、特定の神経伝達物質の合成) などがあります。

アストロサイトの欠損や異常機能は、様々な神経変性疾患プロセスに関与しています。アストロサイトの慢性的な活性化は、ADやHDで見られる病変と類似した病変をもたらします。

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