がん細胞は、増殖を止めるための抑制シグナルに抵抗性を示します。増殖を抑制する主要な経路には、 オートファジーやですレセプターシグナル伝達 (アポトーシス) があり、どちらも最終的に細胞死を誘導して増殖を抑制します。
オートファジーは動的な細胞リサイクルシステムであり、細胞質内容物や異常なタンパク質凝集体、余剰あるいは損傷したオルガネラを分解します。これにより、生体分子の基本構成単位 (アミノ酸など) を確保し、新たな細胞成分を作り出すことができます。つまり、オートファジーは、生存を促進するプロセスであると考えられます。がんは、オートファジーを促進して微小環境ストレスを乗り切り、増殖を亢進させて悪性度を高めます。オートファジーのプロセスには、オートファゴソームの形成が含まれ、これがリソソームと融合してオートファゴリソソームを形成します。このプロセスは、 mTOR/AMPK/PI3K/MAPK 経路によって制御されます。
注目すべきタンパク質:
アポトーシス (プログラムされた細胞死) は、デスレセプターの活性化により誘導されます。
注目すべきタンパク質:
増殖抑制の回避に関与する経路やタンパク質についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのリンクからパスウェイ図をご確認ください。
がんの特性研究の標的に関する、完全なガイドをご覧ください。
がんの特性 (Hallmarks of cancer) とは、Robert Weinberg博士とDouglas Hanahan博士が提唱し、Cell誌に発表したものです1。彼らは、複雑ながんの性質を、より小さなサブセットに分解して理解することが重要であると述べています。今回の記事では、これらの特性の一部である「増殖抑制の回避」について記載しました。本シリーズの他の記事では、今回触れなかった他の特性についても解説します。
詳細は「がんの特性」シリーズのブログをご覧ください。