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がんの特性:血管新生の誘導

筆者:Chris Sumner | Mar 20, 2019

がん細胞は、腫瘍に栄養素を供給するため血管新生を刺激します。既存の血管から新しい血管が形成されることを、血管新生といいます。これが腫瘍の成長に重要な役割を果たします。

血液の供給が不十分である場合、良性腫瘍は休止状態のまま維持される可能性があります。しかし、休止状態の腫瘍で「血管新生スイッチ」が起こると腫瘍細胞から増殖因子が分泌され、新たな血管の出芽や血管内皮細胞の腫瘍塊への走化性を誘導します。

腫瘍塊で酸素の供給が不足すると、転写因子HIF-1 (hypoxia inducible factor-1) タンパク質が安定化して蓄積します。 HIF-1は、VEGF (vascular endothelial growth factor)bFGF (basic fibroblast growth factor)、あるいはPDGF (platelet-derived growth factor) といった、いくつもの遺伝子の発現を活性化させて血管新生のプロセスに寄与しています。

今回ご紹介したがんの特性のひとつ、血管新生に関係のあるタンパク質についてもっと詳しく知りたい方は、CSTパスウェイの血管新生リソースをご覧ください。

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がんの特性について、研究対象のガイドブックのダウンロードはこちら

  1.  Hanahan D, Weinberg RA (January 2000). "The Hallmarks of Cancer". Cell. 100 (1): 57–70. doi:10.1016/S0092-8674(00)81683-9
  2. Hanahan D, Weinberg RA (March 2011). "Hallmarks of Cancer: the next generation". Cell. 144 (5):646-74. doi: 10.1016/j.cell.2011.02.013.

がんの特性 (Hallmarks of cancer) はRobert Weinberg博士とDouglas Hanahan博士によって提唱され、2000年のCell誌に発表されたものです1。彼らは、複雑ながんの性質を、より小さな特性 (増殖シグナルの維持、増殖抑制の回避、無秩序な複製による不死化、浸潤能および転移能の活性化、血管新生の誘導、細胞死への抵抗性) に細分化して捉えることを提案しています。今回の記事では、これらの特性の一部について記載しました。本シリーズのその他のエントリーでは、知られているその他の特性について説明します。

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