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がんの特性:増殖シグナルの持続

筆者:Chris Sumner | Apr 3, 2019

がん細胞は、自己増殖を促進できます。つまり、細胞増殖に必要なEGF (Epidermal growthfactor) などの外部からのシグナルに依存せず、増殖シグナルを自ら補うことができるようになります。細胞増殖は、主に、Akt、MAPK/Erk、MTORの3つの経路に大きく依存します。

Aktは、PKB (Protein Kinase B) としても知られる代表的なセリン/スレオニンキナーゼファミリーの1つで、Akt1、Akt2、Akt3の3つのアイソフォームが知られています。Akt1 (v-Akt) は、元々は原がん遺伝子として発見されましたが、代謝や増殖、生存維持、転写、タンパク質合成などの様々な細胞機能の制御において重要な役割を担います。Aktは細胞内外の様々な刺激に応答して活性化され、この活性化に関与する最も重要な分子としては脂質キナーゼであるPI3K (phosphoinositide 3-kinase) が知られています。このキナーゼは、細胞の生存維持の主要な制御因子であり、アポトーシスを促進する経路やタンパク質 (FoxO1など) を阻害します。

MAPK (Mitogen-activated protein kinase) は、細胞の増殖や生存維持のシグナルを、細胞表面の受容体から核へと伝える様々なシグナル伝達カスケードの中心的な役割を担います。増殖因子による受容体型チロシンキナーゼの活性化、インテグリンの作用、あるいは細胞のホメオスタシス変化 (ストレスなど) により、Erk (Extracellular regulated kinase) やp38 MAPK、JNK (c-Jun N-terminal kinase) のシグナルが活性化されます。各キナーゼはその後、c-JunやEts、Elk、ATFなどの細胞分裂や生存維持、修復、増殖を制御する転写因子の活性化を促進します。

mTOR (mammalian target of rapamycin) はプロテインキナーゼであり、ATPやアミノ酸のセンサーとして機能し、栄養素やエネルギーの供給状態と細胞増殖のバランスをとる役割を持ちます。mTORは、AktやErk、AMPKなどが関与する他のシグナル伝達経路によって活性化または抑制されます。一方、mTORは、脂質代謝や生合成、細胞の成長や増殖、オートファジーを調節する一連の代謝酵素とその他のプロテインキナーゼを制御します。

増殖シグナルの持続に関連する経路やタンパク質についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

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がんの特性 (Hallmarks of cancer) はRobert Weinberg博士とDouglas Hanahan博士によって提唱され、Cell誌に発表されたものです1。彼らは、複雑ながんの性質を、より小さな特性に細分化して捉えることを提案しています。今回の記事では「増殖シグナルの維持」と題し、がんの特性の1つに関連する内容を記載しました。本シリーズの他の記事では、今回触れなかった他の特性についても解説します。

詳細は「がんの特性」シリーズのブログをご覧ください。

参考文献:

  1. Hanahan D, Weinberg RA. The hallmarks of cancerCell. 2000;100(1):57-70. doi:10.1016/s0092-8674(00)81683-9
  2. Hanahan D, Weinberg RA. Hallmarks of cancer: the next generationCell. 2011;144(5):646-674. doi:10.1016/j.cell.2011.02.013

    18-CEL-47850

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