CSTブログ: Lab Expectations

Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験台に向かう時間に期待すること、ヒント、コツ、情報などを紹介しています。

マウス組織のローディングコントロール

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マウス組織サンプルでは、ウェスタンブロットのローディングコントロールタンパク質のすべてが同等に発現することはありません。例えば、マウスの心臓のβ-actinや、マウスの小腸のGAPDHは比較的少なくなっています。しかも、特定の実験条件下では、一部のローディングコントロールのタンパク質量が影響を受けて変化します。例えば、β-actinのmRNAの量は、一部の組織においてインスリン治療により変化します。

したがって、サンプルの種類と実験に最適なローディングコントロールがどれであるかを、前もって調べて決定しておくことが重要です。このブログでは、様々なマウス組織における、一般的なローディングコントロールタンパク質の発現レベルをウェスタンブロットの例を用いてご紹介していますので、最後までご覧ください。

ウェスタンブロット用のマウス組織のローディングコントロールの選定

Cell Signaling Technology (CST) の科学者は、ウェスタンブロットでマウス組織を試験する際に、どのように準備をするのでしょうか?弊社は、ウェスタンブロットを行う前に、信頼性の高い発現データーベースと論文で、その組織タイプがローディングコントロールタンパク質を発現しているかどうかを確認しています。また、おおよその発現量を予測するために、そのタンパク質の相対的な存在量も確認しています。組織が標的のmRNAを発現するからといって、結果として生じるタンパク質の量がウェスタンブロットで検出できるほど高いとは限りません。ブロットを行う前に、使用予定のローディングコントロールタンパク質が組織サンプル内に高度に発現されることを確認しておきましょう。そうすることにより、貴重な時間と試薬を節約できます。

CSTは、ローディングコントロールを選択するためのサポートの一環として、一般的なローディングコントロール抗体とマウス組織タイプのいくつかを用いた社内試験を実施しました。結果は、以下の表をご覧ください。

様々なマウス組織における、ローディングコントロールの発現

様々なマウス組織型での、共通のローディングコントロール抗体発現の存在量

Table: 様々なマウス組織における一般的なローディングコントロール抗体の発現レベル

また、以下に各マウス組織における一般的なローディングコントロールタンパク質の発現レベルを確認した際の、ウェスタンブロットの例を示しています。ウェスタンブロット用に検証されたCSTのローディングコントロール抗体のリストと、マウスの各標的タンパク質を認識する抗体の簡単なリストもご覧いただけます。

最新の製品に関する情報については、CST製品カタログをご覧ください。また、購入に関するご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。


各マウス組織における、α-Tubulinローディングコントロールの発現

マウス組織α-チューブリンのWB解析

様々なマウス組織の抽出物を、α-Tubulin (11H10) Rabbit mAB #2125を用いてウェスタンブロットで解析しました。

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のα-Tubulin抗体:


各マウス組織における、COX IVローディングコントロールの発現 

マウス組織COX IVのWB解析

様々なマウス組織の抽出物を、COX IV Antibody #4844を用いてウェスタンブロットで解析しました。

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のCOX IV抗体:


各マウス組織における、β-Tubulinローディングコントロールの発現

マウス組織β-TubulinのWB解析

様々なマウス組織からの抽出物を、β-tubulin (9F3) Rabbit mAb #2128を用いてウェスタンブロットで解析しました。

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のβ-Tubulin抗体:


各マウス組織における、Histone H3ローディングコントロールの発現

マウス組織Histone H3のWB解析

様々なマウス組織からの抽出物を、Histone H3 (D1H2) XP Rabbit mAB #4499を用いてウェスタンブロットで解析しました。 

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のHistone H3抗体:


各マウス組織における、GAPDH ローディングコントロールの発現

マウス組織GAPDHのWB解析

様々なマウス組織からの抽出物を、GAPDH (D16H11) XP Rabbit mAB #5174を用いてウェスタンブロットで解析しました。 

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のGAPDH抗体:


各マウス組織における、β-Actinローディングコントロールの発現

注意:β-Actinは、Caspase-3によりAsp244とGly245の間が切断され、32 kDaの断片と15 kDaの断片が生じます。いくつかのβ-Actin抗体では、抗原の位置により、完全長のβ-Actinと、β-Actinの一部分である32kDa断片の両方を検出する場合があります。

マウス組織β-アクチンのWB解析

様々なマウス組織の抽出物を、β-Actin (D6A8) Rabbit mAB #8457を用いてウェスタンブロットで解析しました。

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のβ-actin抗体:


各マウス組織における、β3-Tubulinローディングコントロールの発現

マウス組織β3-チューブリンのWB解析

様々なマウス組織の抽出物を、β3-tubulin (D65A4) XP Rabbit mAB #5666を用いてウェスタンブロットで解析しました。

マウスに交差性がある、CSTのウェスタンブロット用のβ3-Tubulin抗体:


まだ、実験に対してどれが最適な抗体か迷っていますか?抗体の選択または実験の設定方法に関する質問は、CSTテクニカルサポートまでお気軽にお問合せください。お客様の実験に最適な抗体の選択を、是非お手伝いさせてください!

Supriya Singh, PhD
Supriya Singh, PhD
Supriyaは、高校生の時に小さなバイオテクノロジー企業のインターンシップに参加し、科学の面白さに目覚めました。それから10年経ち、分子生物学と細胞生物学の博士課程を修了したSupriyaは、科学者に最高品質の抗体とテクニカルサポートを提供する、プロダクトサイエンティストとしてCSTに入社しました。シニアプロダクトサイエンティストとして実績を重ねた後、Supriyaはマーケティング部に異動し、CSTが提供する製品の認知度を高めることにより、研究者が研究に没頭できる環境を作ろうと邁進し続けています。

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