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9B11抗体は最も引用されている競合他社製のMycタグ抗体よりも優れています

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生物学的な研究は知識の拡大を目指すものであり、科学者がまだ抗体が開発されていないタンパク質の研究に興味を持つのは珍しいことではありません。それでは科学者は、このような新規またはよく特性づけられていないタンパク質の機構をどのように調べることができるのでしょうか?エピトープのタグ付けは、このようなタンパク質研究で強力なツールとなり、多様な実験アプリケーションで使用されています。ただし、エピトープタグの選択だけでなく、抗体の選択と検証にも注意が必要です。

20-CEP-60018 9B11 Myc Tag Blog

Mycタグを付加したタンパク質 (緑色) をトランスフェクトしたCOS細胞を免疫蛍光染色し共焦点顕微鏡で観察しました。アクチンフィラメントをDyLight™ 554 Phalloidin #13054 (赤) で染色しています。DRAQ5® #4084を用いてDNAを染色し、青の疑似カラーで示しました。

 

FLAGタグ (1)、6xヒスチジン (His) タグ (2)、Mycタグ (3) など、小さなエピトープタグを操作してリコンビナント融合タンパク質を発現させることによって、そのタンパク質を抗体で検出することができます。エピトープタグの付加は必ず問題のタンパク質に基づいて最適化する必要があり、これには、厳密な実験デザインと、エピトープの融合がタンパク質の構造、安定性、あるいは機能に干渉しないことの確認が含まれます。ただし、エピトープタグは融合したタンパク質にて機能しなければならないため、新たにエピトープタグを付加したタンパク質の検証ではタグのアクセス性も考慮する必要があります。周囲のタンパク質環境は抗体とエピトープの相互作用に影響を及ぼすことがあります。さらに、問題のタンパク質に対していずれかの末端へのタグ付加が機能的に利用できない場合、エピトープはその反対の末端に融合させるか、内部のオープンリーディングフレーム (ORF) に挿入することもあります (4)。したがって、その周囲のアミノ酸残基は、それぞれの持つ性質に応じて抗体の機能に影響を及ぼすことがあります。

最近、Science Signaling誌の論文においてSchüchnerらは、抗体の機能に対するMycタグの挿入位置の影響を調査しました。最も引用されているMycの抗体であるモノクローナル抗体9E10に焦点が当てられました。Mycタグ配列が、正電荷を持つアミノ酸残基の連続の後ではなく、より小さな中性アミノ酸残基の後に付加されると、ウェスタンブロッティングにおける9E10抗体のパフォーマンスは大幅に低下することが見出されました (Schüchner et al.)。それと比べて、マウスMycモノクローナルクローン4A6 (競合他社A製) は、隣接するアミノ酸配列の違いにもかかわらずMycタグ付加タンパク質をより一貫して検出しました。さらに、エピトープタグC末端の4つの部位それぞれにおいて、マイクロアレイ解析でタンパク質を構成する20のアミノ酸残基すべてについて調べることによってそれらの影響を調査しました。代替のモノクローナル抗体と比較して、9E10抗体は配列の位置と状況に対して非常に敏感でした。9E10抗体のシグナル変動性は非常に高く、19のペプチドのシグナルは平均シグナルの10%未満で、5つのペプチドは9E10抗体では検出されませんでした。ついで、Mycタグの+1位および+2位のアミノ酸残基の二重置換によって、9E10抗体を代替の4A6抗体とさらに比較しました。9E10抗体は20のペプチドを検出できなかったのに対し、4A6抗体はすべてを検出しました。これは、9E10抗体の反応性にエピトープを直接に取り囲むタンパク質コード配列が重要であることを明確に示しています。

20-CEP-60018 IHC画像

Myc-Tag (9B11) Mouse mAbを用いた、コントロール (上) およびC末端にMycタグを付加したタンパク質をトランスフェクション (下) したパラフィン包埋COS細胞ペレットの免疫組織化学染色。

 

この状況に依存した配列への感受性が一般的であるかどうかを評価するため、焦点をその他の人気あるMyc抗体にも向け、ウェスタンブロッティングにより解析しました。それらの抗体は、引用数、入手可能性、および宿主動物によって選ばれたもので、マウスモノクローナルクローン9E10 (競合他社A製)、モノクローナルクローン4A6 (競合他社A製)、およびマウスモノクローナルクローン9B11 (Cell Signaling Technology製) が含まれていました。MycエピトープをラットPP2A B55αのフラグメントのN末端あるいはC末端の4つの異なる状況で融合し、すぐ上流あるいは下流の配列は一般的な哺乳類発現ベクターに由来する7つのアミノ酸残基から構成しました。これらを、B55αのマウスモノクローナル抗体クローン2G9と比較しました。当然ながら9E10抗体を含めて、多くの人気のあるMyc抗体が、4つのタグ付加タンパク質を検出する能力にかなりのばらつきを示すことが見出されました。とりわけ、9B11抗体は4つのMycタグ付加タンパク質すべての検出に一貫性を示した2つの抗体のうちの1つであり、この抗体は局所的なアミノ酸配列環境に対して比較的非感受性であることが示唆されました。

エピトープタグの付加が研究者にとって不可欠なツールであることは事実ですが、この研究は、エピトープタグの選択だけでなく、それらを検出するために使用する抗体の選択および検証にも注意を払わなければならないことを示しています。マウスモノクローナルクローン9E10はこれまでに最も頻繁に利用され引用されている抗体ですが、この研究は、直接に隣接するアミノ酸配列による阻害の影響を非常に受けやすいことを示しています。したがって研究者は、特定のアプリケーションについて抗体を慎重に検討し、おそらく、同様に状況に固有な感受性を示さない、容易に入手可能な市販の代替品に焦点を当てるでしょう。

Myc-Tag (9B11) Mouse mAbについての詳細は、こちら。

参考文献:

  1. P. Hopp, K. S. Prickett, V. L. Price, R. T. Libby, C. J. March, D. P. Cerretti, D. L. Urdal, P. J. Conlon, A Short polypeptide marker sequence useful for recombinant protein identification and purification. Bio/Technology 6, 1204–1210 (1988).
  2. Hochuli, W. Bannwarth, H. Döbeli, R. Gentz, D. Stüber, Genetic approach to facilitate purification of recombinant proteins with a novel metal chelate adsorbent. Bio/Technology 6, 1321–1325 (1988).
  3. I. Evan, G. K. Lewis, G. Ramsay, J. M. Bishop, Isolation of monoclonal antibodies specific for human c-myc proto-oncogene product. Mol. Cell. Biol. 5, 3610–3616 (1985).
  4. E. Zordan, B. J. Beliveau, J. A. Trow, N. L. Craig, B. P. Cormack, Avoiding the ends: Internal epitope tagging of proteins using transposon Tn7. Genetics 200, 47–58 (2015).
Tamar Aprahamian, PhD
Tamar Aprahamian, PhD
Tamar Aprahamian博士は、JetPub Scientific Communications社の創始者であり、ライフサイエンス業界や学術機関向けに戦略的サポートと質の高いライティングサービスを提供しています。以前は、学術機関およびバイオテクノロジー関連のベンチャー企業で勤務していました。また、助成金研究部門や学術誌の査読者を務めるほか、研究プログラムに関連した38本の論文を発表しています。Tamar博士は、タフツ大学で細胞生物学、分子生物学、発生生物学の博士号を取得しました。

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