CSTブログ: Lab Expectations

Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験台に向かう時間に期待すること、ヒント、コツ、情報などを紹介しています。

ハイスループット免疫アッセイで検証済み抗体ペアを用いる重要性

詳細を読む
投稿一覧

長年にわたって初期のELISAフォーマットには改変が加えられ、酵素標識や発色基質、化学発光基質、蛍光の測定に利用されるようになり、バリエーションも豊富になりました。また、免疫アッセイ法の簡便化や感度の改善を目的とした機器も多く開発されています。しかし、新たな免疫アッセイ法や技術を利用した場合であっても、これらの方法の根底にあるのは抗体ペアであり、抗体ペアの特異性や感度が最終的なアッセイの性能を決めるということに変わりはありません。

免疫アッセイにおける抗体の特異性の重要性

抗体の特異性は目的分子の検出を保証するとともに、バックグラウンドを低減してS/N比に影響を及ぼし、感度の向上にも寄与します。プレート表面に結合させる抗体自身に由来するシグナル (pre-bindingシグナル) は非常に低くなります。アッセイに用いる血漿や細胞ライセートには、目的とする標的分子の他にもモノクローナル抗体 (mAb) に結合し得る標的が何千も含まれています。サンプルに由来する非特異的な結合が大きいほど、アッセイのベースライン (ノイズ) が高くなります。ベースラインを低く保つための統計学的手法や実験的手法もありますが、mAbが本来持つ特異性が不十分な場合はベースラインが高くなり過ぎ、アッセイの感度が制限されてしまいます。

抗体の特異性はS/N比を向上させます

1つの抗体と2つ目の抗体 (二次抗体) の特異性を組み合わせて「mAb-標的-mAb」のサンドイッチを形成させることができます (1つ目の抗体:捕捉抗体、二次抗体:検出抗体)。mAbを2つ用いることでノイズが2倍になる可能性がありますが、利点が欠点を上回ります。ここでは全ての可能性を列挙しませんが、一般的な特徴として、mAbを2つ用いることで特異性を向上させることができます。また、一方あるいは両方のmAbを標識することで、標的のプレート表面への捕捉や検出を助けることができます。

あらゆるプラットフォームにおける高品質なアッセイの開発

一般的には免疫アッセイに抗体ペアを用いることが望ましいですが、全体として、このアプローチを用いると成功までのハードルの高さが2倍以上になるという問題があります。

まず、特異的なmAbを1つではなく2つ見付ける労力が必要になります。さらに、これらの2つの抗体は、同時に2つの異なる露出したエピトープに結合しつつ、プレート表面に結合する、または検出用の標識がなされていなければなりません。このような基準を満たす抗体ペアの試験や検証を行うために、まず個々の抗体の試験を行う必要があり、多大なリソースや時間、費用が必要になります。

目的のタンパク質の測定が非常に重要であり、測定するためのツールをどのように構築するかは、通常大きな問題ではありません。このツールの開発には多大なリソースを費やすことになります。体温を測りたい場合、使用する体温計を開発するより、そのまま使える体温計がある方がずっと楽です。

では、プラットフォームを問わず機能する、優れたハイスループット免疫アッセイを構築するにはどうしたら良いでしょうか?

まずは特異性が高く強力なmAbから始めてください。また、できるだけ多くのmAbを用意してください。続いて、簡単なアッセイでどの抗体がペアとして使用できるかを調べ、標識を行っても機能する抗体ペアを特定してください。古くから「スクリーニングに見合ったものが得られる」と言われますが、ここでもそれが当てはまります。IHCで機能するmAbをスクリーニングした場合、これらのmAbがELISAフォーマットでも機能する可能性はあります。しかし、ELISAアプリケーションのために設計されたスクリーニングを行えば、ELISAアッセイに適した、はるかに優れたmAbが得られます。

抗体ペアを使用する様々なプラットフォームを考慮すると、これが万能の方法ではないでしょうか。結局のところ、抗体ペア、あるいはペアの組み合わせを、選択した特定のプラットフォームで試してみるしかありません。しかし、特定のエピトープに特異的なmAbは、プラットフォームに依らず同じエピトープを検出します。プラットフォームごとの最も大きな違いの1つは、mAbをプレート表面に結合させたり、ビーズや検出法ごとの標識が必要になる可能性があることです。抗体ペアの検証の初期段階で、部位を問わずmAbの標識フォーマットを試験しておけば、その抗体を選択したプラットフォームで利用できる可能性が非常に高くなります。

つまり、抗体ペアとして機能するようにスクリーニングと検証を行った、特異性と感度の高い抗体は、あらゆる免疫アッセイで技術的な問題に依らず最も重要な要素となります。

CSTの検証基準

CSTのアッセイ開発チームは、同じ検証基準で様々な抗体の組み合わせをスクリーニングし、ELISAキットに使用する抗体ペアを決定しています。

お客様のELISAやハイスループット免疫アッセイのニーズに合わせ、これらのキットの抗体ペアをご利用いただくこともできます。ELISAキットの標的を選択し、こちらからお問い合わせください。

関連する投稿

パーキンソン病におけるオートファジー-リソソーム経路の特性解析

CSTは、PD研究を前進させるためにMichael J. Foxパーキンソン病財団 (MJFF) と...

従業員の意向を反映する世界各地への寄付活動:人道支援に15万ドルを寄付

寄付および助けを必要とする人をサポートするという考えが、Cell Signaling Technology (CST) の…
Krystyna Hincman2024年3月20日

抗体標識キットよりも標識サービスを推奨する5つの理由

マルチプレックス解析の増加に伴い、抗体標識の需要がますます高まっています。従来型または...
Alexandra Foley2024年3月6日
Powered by Translations.com GlobalLink OneLink SoftwarePowered By OneLink