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Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験中に起こると予測される事象や実験のヒント、コツ、情報などを紹介します。

フローサイトメトリー実験における蛍光色素の組み合わせ

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フローサイトメトリーでは、細胞ごとに複数の項目を検出して定量することができ、調査対象の実験系で多次元的な知見を得ることができます。様々な蛍光分子 (蛍光色素) で標識した抗体を組み合わせて使用するのが一般的です。それでは、ほかの蛍光色素と区別して明確に検出し易いのはどの色素でしょうか?蛍光の重複が大きく、データの解釈が難しくなり易いのはどの色素でしょうか?初めてフローサイトメトリーを行う場合や、使い慣れない蛍光色素を使用する場合は、同時に使用できる蛍光色素を調べるのに時間がかかることがあります。弊社は、適合する蛍光色素を迅速に選択できるよう、使い易いリソースを開発しました。

複数の蛍光色素を組み合わせて使用できるかどうかを判断する場合、スペクトルビューアで励起スペクトルと蛍光スペクトルを調べるのが一般的です。スペクトルを調べることで、蛍光色素が同じ色の光で励起されるかどうか、蛍光がどの程度重複するのかを確認することができます。重複がある場合、目的の蛍光色素以外に由来する光の寄与を、数学的な処理で除去する補正 (コンペンセーション) が必要になるため、重複をなるべく小さく抑えるべきです。用いる指標が数個程度のアッセイの場合は、補正の必要がほとんど無い蛍光色素の組み合わせを選択することができます。これによって、セットアップの時間を大幅に短縮することがます。また、不確実なデータが得られる危険性を低減することもできます。

 フローサイトメトリーで少数の項目を調べる場合の適応蛍光色素クイックガイド

抗体パネルが大きく (使用すべき抗体の数が多く)、多数の蛍光色素の重複を確認する必要がある場合には、スペクトルビューアの使用、特にパネルビルダーの併用が非常に便利です。それでは、ある1つの蛍光色素を、どの色素と組み合わせるべきかを知りたい場合はどうしたら良いでしょうか?単純にイエスノーだけを知りたい場合に、様々なスペクトルを読み込むのは時間の無駄のように思えます。このような場合に迅速に答えを見つけるために、CSTは下記の早見表をご用意しました。こちらをご利用いただくことで、コンペンセーションの必要がほどんど無い、よく利用される蛍光色素の組み合わせを確認することができます。この表を用いることで、スペクトル型フローサイトメーターのみで区別できる、蛍光の重複が大きい (つまり、不確実なデータが得られる危険性のある)、組み合わせを避けるべき蛍光色素の確認もできます。

フローサイトメトリーで使用されている光路のタイプ別に、2つの表があります。並列励起 (Parallel excitation) とは、標的に励起光を独立に照射し、それぞれで生じる蛍光を別個に測定することです。一方、共線励起 (Co-linear excitation) の場合は、全ての励起光の光路を共有して標的に同時に照射し、生じる蛍光スペクトルを一緒に定量します。したがって、並列励起を行う装置では、励起光が異なるが蛍光の重複が大きい2つの色素を使用することができますが、共線励起を行う装置ではこれを区別することができません。使用するフローサイトメーターの光路を確認し、適切な表をご利用ください。

 

初心者向けフローサイトメトリー適応表並列励起を用いたフローサイトメーター共線励起を用いたフローサイトメーターアッセイに使用する抗体の推奨プロトコールが異なる場合、どのように組み合わせるべきか悩んでいませんか? CSTのフローサイトメトリー用抗体染色ガイドを活用し、細胞外の標的に結合する抗体と細胞内の標的に結合する抗体の、最適な組み合わせを決定してください。

また、フローサイトメトリー用に検証済みの標識抗体を含む、入手可能な標識抗体をCSTのウェブサイト上でご覧いただけます。 

お役にたてれば光栄です。蛍光色素や、フローサイトメトリーにおける抗体の使用法に不明な点がありましたら、弊社テクニカルサポートにお問い合わせください。

Rob MacDonald, PhD
Rob MacDonald, PhD
Rob MacDonald博士は、Cell Signaling Technologyの免疫グループのデベロップメントサイエンティストです。Rob博士は、コーネル大学で環境毒物学の博士号を取得しました。

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