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2種の染色の話:Ponceau SとCoomassie Blue

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あなたは今、細胞ライセートのサンプルのSDS-PAGEを終えました。これでタンパク質は分子量に応じて分離できたので、あとは転写膜に転写してウェスタンブロット (WB) で検出するだけです。しかし、本当にそうでしょうか?

Ponceau SとCoomassie Blueの比較

WBの全行程を終えた後、予想される位置にバンドがみられない場合、抗体のトラブルシューティングが必要なこともありますが、電気泳動と転写のステップのトラブルシューティングが必要かもしません。この場合、Ponceau SやCoomassieで総タンパク質を染色し、可視化するのが有効な手段となります。

Ponceau S Staining Solution#59803や、Coomassie Brilliant Blueによる染色で、電気泳動後、タンパク質の転写を可視化できます。これらはタンパク質の転写と、標的タンパク質の存在を確認するために重要で、実験の時間と貴重なリソースを節約することができます。また、これらによって転写が不完全な場合 (気泡や転写のムラなど) にも気付くことができます。これは論文に掲載できる品質のデータを目指す上で重要です。

Ponceau S、Coomassie Brilliant Blue染色液はいずれも、負に荷電した溶液で、正に荷電したアミノ酸基と非極性タンパク質領域に結合します。Ponceau Sは、200 ng以上のタンパク質レベルを検出することができ、PVDF、ニトロセルロース、またはナイロンの転写膜に使用できます。従来型のCoomassie Brilliant Blueは、PVDF転写膜のみに使用できますが、50 ng以上のタンパク質レベルを検出することができます。サンプルのタイプや行うべき試験によっては、より高感度の検出染色が重要になることがあります。しかし、Coomassie Brilliant Blue溶液を使用する場合は、溶液中のアルコールや酸がタンパク質サンプルをゲルに固定してしまうため、そこから改めてWBによる解析を続けることができなくなります。

Coomassie Blue G-250を用いた染色プロトコール

Coomassie Brilliant Blue染色液にはいくつかの種類があります。製造元や溶液の種類によってプロトコールがわずかに異なり、2時間から丸一日かかります。最も一般的に利用されているCoomassie Blue G-250の場合は、次のように使用します。

  • 電気泳動した後、ポリアクリルアミドゲルをddH2Oで3回洗浄します。
  • ポリアクリルアミドゲルに少なくとも25 mL (ゲルが覆われるまで) の染色液を加えます。
  • 染色液を加えたゲルをシェーカーの上に置き、ゲルが容器に付着しないようにゆっくりと震盪します。
  • 染色時間は、ゲルの厚さとアクリルアミドの濃度によって異なります。ゲルが均一に青色に染まるまで2時間以上かかります。
  • ゲルが染色された後、ゲルをddH2Oで洗浄します。穏やかに1 - 2時間震盪し、その間にddH2Oを数回交換して余剰な遊離色素を除きます。

Ponceau Sを用いた染色プロトコール

Ponceau Sの染色プロトコールは約20分間かかります。この試薬は、毒性がなく、Coomassie Brilliant Blueよりも穏やかな染色液です。Ponceau S Staining Solutionはタンパク質を固定しないため、染色後にWBによる解析を再開できる点も重要です。

Ponceau S (CST #59803) の染色方法は:

  • 転写膜にタンパク質を転写した後、転写膜をddH2Oで軽く洗浄します。
  • 転写膜をPonceau S Staining Solution中で5 - 10分間、室温でインキュベートします。
  • 転写膜をddH2Oで1 - 5分間、赤いバンドが見えるまで洗浄します。
  • バンドをマークするか、写真撮影した後、転写膜を1X TBS-Tで5分間、数回洗浄します。

これで実験をそのまま継続することができ、残存したPonceau Sはブロッキングのステップで洗い流すことができます。また、Ponceau Sは抗体結合と相互作用しません。

Ponceau SとCoomassie Brilliant Blueの使い分け

概ね、どちらの染色も実験結果の信頼性を高めます。50 - 200 ngの範囲のタンパク質を検出する必要がある場合には、Coomassie Blueを使用するのが最良の選択です。

しかし、Cell Signaling Technologyは迅速で簡便、穏やかながら効果的なPonceauをよく利用しています。

 

参考文献

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