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Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験中に起こると予測される事象や実験のヒント、コツ、情報などを紹介します。

細胞プロセス:細胞生存率とその測定法

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培養している細胞の健康は実験の成功にとって重要です。ノックダウン、薬剤処理、あるいは培養条件によって得られた実験結果に興奮して、サンプルで起こった細胞死の量によってその影響が歪められていることに後から気づいたことはありませんか?アッセイにおける細胞生存率の測定と比較は、それが追跡しているデータであろうと、実験における重要なコントロールであろうと、重要な意義を持ちます。

細胞生存率とは?

細胞生存率はサンプル集団における健康な細胞の割合を指します。生存率の測定は実験条件下における細胞の生理学的な状態を決定するのに不可欠です。細胞生存率は、細胞培養パラメーターの変化、薬剤や成長因子への曝露を含む環境要因、および多くの疾患状態への応答によって影響されます。

細胞生存率:健康な細胞、壊死細胞、アポトーシス細胞

たとえば、がん性細胞は生存率が高く異常に増殖してアポトーシスを回避することができますが、神経変性やその他の組織の変性疾患は進行性の細胞喪失を特徴とします。怪我や感染も細胞の生存に悪影響を及ぼし、壊死性あるいはアポトーシス性の細胞死を引き起こします。細胞の健康と疾患の間に重要な関連があることから、様々な実験的背景とモデル系において細胞の生存率を測定するアッセイは必須です。

細胞生存率を測定する方法 

そのため、多様なプラットフォームで細胞生存率を測定するための、様々な手法が開発されています。 生存率アッセイは、細胞の増殖、細胞膜の完全性、代謝活性、ミトコンドリアの機能など、試験の原理的なメカニズムに基づいてグループに分けられます。

細胞集団の健康状態の全体像を提供することに加えて、生存率が低下した場合、アッセイを改変してアポトーシスなのか壊死なのかといった、細胞死の形式を決定することもできます。

 

XTTアッセイ

XTTアッセイは細胞生存率を測定する代謝試験の一例です。健康な細胞ではXTTはミトコンドリア酵素によってオレンジ色のホルマザン色素に変換されます。その後、波長450 nmで測定した相対吸光度から生細胞の数を推定します。この方法の利点の1つは単純なことで、細胞の固定化、透過処理、また二次検出法を必要としないため、解析の後に細胞をさらに試験することができます。

XTT Cell Viability Assay Kit #9095の使用方法に関する詳細は、XTT Cell Viability Assay Protocolをご覧ください。

9095_fig03___2021042308242796ウェルプレートに異なる密度のC2C12細胞を播種し、一晩インキュベートしました。XTT Cell Viability Kit #9095アッセイ溶液をプレートに添加し、細胞をインキュベートしました。1.0、2.0、3.0、4.0、5.0時間後に450 nmの吸光度を測定しました。

 

レサズリンアッセイ

生存率の代謝試験の2番目の例はレサズリンアッセイです。レサズリン試薬を細胞培養に添加すると、健康な細胞が持つデヒドロゲナーゼ酵素によって蛍光を発するレゾルフィンに還元され、このレゾルフィンの量はサンプル中の生細胞に比例します。XTTアッセイと同様に、レサズリンアッセイに使用した細胞はさらに下流の解析に使用できます。

Resazurin Cell Viability Kit #11884の使用方法に関する詳細は、Resazurin Cell Viability Kit Protocolをご覧ください。

 

生細胞/死細胞の計数アッセイ

生細胞と死細胞の計数アッセイは細胞生存率を評価するもう1つの一般的な方法です。これらの試験では、細胞透過性生体色素、細胞不透過性色素、あるいはその両方を組み合わせて細胞集団の生細胞と死細胞を同時に標識します。たとえば、トリパンブルーは細胞膜を透過できないアゾ染料であるため健康な細胞からは除外されます。ただし、細胞膜が損傷した死にかけている細胞はトリパンブルーを取り込むため、血球計算盤を使用して青色の死細胞と無色の生細胞を計数できます。

 

TUNELアッセイ

TUNEL (Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling) アッセイなど、プログラム細胞死を起こした細胞を検出する方法もあります。この方法では、アポトーシスを起こした細胞の特徴である断片化したDNAの3’OH末端を、蛍光色素で標識したdUTPの修飾体を利用して検出します。TUNELアッセイでは様々な蛍光色素を選択することができ、免疫組織化学染色やフローサイトメトリー、免疫蛍光染色など、抗体ベースのアッセイで多重染色する場合に柔軟に利用することができます。

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パラフィン包埋ヒト大腸がん組織TUNEL Assay Kit #25879 (Fluorescence, 488 nm) (緑)、その後Cleaved Caspase-3 (Asp175) (5A1E) Rabbit mAb #9664 (赤) およびDAPI #4083 (青) で染色し、共焦点顕微鏡で解析しました。


CSTはシンプルで使い易く、培養細胞や組織、パラフィン包埋サンプルで即日結果が得られる、3種類のTUNELキットを提供しています。

 

IHCを用いた細胞生存率のアッセイ

免疫組織化学染色 (IHC) を用いた細胞生存率のアッセイが開発されました。このアプローチは一般的に、健康な組織と病変組織におけるタンパク質の時間的な分布とその発現パターンを同定する、また、無傷の組織切片が示す細胞構造を維持しながら細胞死を起こしている細胞の領域を同定するのに使用されます。特にKi67PCNAなどの細胞増殖のマーカー、また切断型Caspase-3PARPなどのアポトーシスのマーカーは、一般にIHCを用いて定量することができます。

 

追加リソース:

  • 概念、細胞生存率、および適用可能なアッセイの詳細な議論については、細胞死のリソースに関する弊社のウェブページをご覧ください。
  • 細胞生存率と、それを検出するために使用するアッセイに関する詳細は、以下のリソースをご覧ください。細胞増殖、代謝、細胞死の概要
Tamar Aprahamian, PhD
Tamar Aprahamian, PhD
Tamar Aprahamian博士は、JetPub Scientific Communications社の創始者であり、ライフサイエンス業界や学術機関向けに戦略的サポートと質の高いライティングサービスを提供しています。以前は、学術機関およびバイオテクノロジー関連のベンチャー企業で勤務していました。また、助成金研究部門や学術誌の査読者を務めるほか、研究プログラムに関連した38本の論文を発表しています。Tamar博士は、タフツ大学で細胞生物学、分子生物学、発生生物学の博士号を取得しました。

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