CSTブログ: Lab Expectations

Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験台に向かう時間に期待すること、ヒント、コツ、情報などを紹介しています。

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諦めなければ、実験とデータが進むべき道に導いてくれます。標的タンパク質が、直接遺伝子を制御しているデータを示す必要があるのです。「やっぱりChIPしかないのか…」

クロマチン免疫沈降なんて、名前からして長ったらしいし、なんて難しそうなんだろうと思いますよね。気を取り直して、安全メガネを掛け直してピペットを握り直しましょう。私も、昔はあなたと一緒でした。実は、ChIPなんてやったことなかったのです。ウェスタンブロットと免疫蛍光染色は経験がありましたが、タンパク質を使った作業ばかりしていて、核酸のことはまったく知りませんでした。

問題は山積みです。IPにはどのぐらいの数の細胞が必要か?そんなにたくさん?!もっと少なくしても良いか?初代培養細胞は使えるのか?組織は?まだステップ1も終わってなかったなんて…このプロトコールにはいったいいくつののステップがあるの?

ChIPに取り組み始めた頃、私はプロトコールのほぼ全てのステップで失敗しました。クロマチンを小さく断片化しすぎたり、逆に断片化が不十分だったり、断片化用のバッファーに界面活性剤を入れすぎてしまったり、その逆だったり……。IPに加える抗体量が足りなかったり、入れすぎてしまったり (実のところ、この失敗は結構頻繁に起こります)。ちょうど良い塩梅にできたためしなどなかったのです。

ある時は、私はDNA洗浄後にスピンカラムを廃液受け用のチューブから新しいチューブにセットし直すのを忘れてしまい、精製したばかりのChIP-PCR解析用DNAサンプルをエタノール廃液の中にぶち撒け、2日間のベンチワーク (と2週間の細胞培養) を無駄にしてしまいました。また、私は低品質のビーズやカラム、PCR試薬を使っていましたが、今になって思えば、それは私自身が実験に妥協していたようなものでした。時間とお金は無尽蔵にあるわけではありません。私の欲求不満はピークに達し、なぜこんなことをしているんだろうと思っていました。

答えは単純明快です。全ての失敗は私が経験済みですから、あなたはもう時間を無駄にする必要はないのです。ブログを読まれている皆さん。真実と理解を得るため、クロマチン免疫沈降という新しい世界に果敢にも挑もうとする科学者の皆さん。CSTは、私が開発し磨き上げてきたキットと専用のプロトコールをご用意しています。私たちは、どの試薬がベストであるか突き止め、ChIPキットに実装しました。良い結果を得るには実際のところどのくらいの細胞数が必要なのかを突き止めました。また、私たちの開発した界面活性剤が低濃度のクロマチン断片化用バッファーが、一般的な市販のバッファーに比べて、遥かに優れていることも見出しました。さらに、開発した抗体の全てをタイトレーションして、ChIP実験に必要な量を決定しました (この量はそれぞれの抗体のアフィニティーに依存して変化します)。私たちは、ChIP-seqライブラリーの構築に必要なIP後のDNA量が何ナノグラムであるかを知っています。私たち自身で実験してきたので、あなたが疑問に思う質問のほとんどすべてに対する答え を知っているのです。

私はこれまで何百ものお客様の実験トラブル解決のお手伝いをしてきました。数千時間もの時間を、お客様との電話や電子メールのやりとり、お客様のデータの分析に費やしています。何年にもわたって、1週間に80回以上のChIP実験、数十万サイクルものPCRを行ってきました。こうした経験全てを通して得た知識をお客様に伝えたいと考えています。弊社のChIPキットと抗体をお使いいただければ、私がデータシートで紹介している手法とまったく同じことをするだけでいいのです。時々試薬が足りなくなった時などは、販売しているChIPキットボックスを出荷部門まで取りに行って使っているのですから。

弊社のウェブサイトにアクセスし、弊社のプロトコール、ChIPキット、抗体をご覧ください。この「小難しい」アッセイに必要な全てのツールが揃っていることがお分かりいただけると思います。私は完全な素人からスタートして、他の人のトラブルシューティングができるほどまでにレベルアップできました。私ができたのですから、皆さんももちろんできます。ですから、直接的な遺伝子制御を実証する必要が出てきたとしても、心配しないでください。ChIPを諦めないで!サポートが必要な時は、お気軽にメールや電話でご連絡ください。

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