フローサイトメトリーとその用途
フローサイトメトリーは、古典的な抗体検出の原理で、1度の実験で細胞の様々な特性を検出することができ、時間の節約をすることができます。
適切な抗体パネルを選択、検証することで、フローサイトメトリーで細胞内シグナル伝達の状態を検出することが可能になり、1度細胞を調製することで数千の細胞を解析することができます。フローサイトメトリーで得られるデータは定量的であり、正確に区別することができ、数え上げることが可能で、特定された特徴を元に細胞集団をわずか数時間で細分化できる点が重要です。このように、フローサイトメトリーは短時間に堅牢なデータセットを生成する、理想的な研究ツールと言えます。
フローサイトメトリーは研究や創薬において多様な用途がありますが、特に様々な抗がん療法に対する腫瘍の応答性を評価する場合に有用です。腫瘍サンプルは不均質な細胞の集団であり、薬剤に誘導される変化を解析するために、含まれる全てのタイプの細胞に固有の応答を捉え、定量化する必要があります。
また、フローサイトメトリーは免疫学の分野でも特に有用です。この分野では様々な免疫細胞を同定し、免疫関連シグナル伝達の状態を解析することが重要になります。
フローサイトメトリーは、特定のタイプの細胞の、細胞機能や機能不全を示す生物学的プロセスを解析することができます。不均質なサンプル中の、多数のシグナル伝達状態について、このような解析をすることができます。
フローサイトメトリーは、不均一なサンプル中の、複数の細胞内シグナル伝達の状態を分析することができ、細胞の機能や機能不全を示す固有の生物学的プロセスや、特定の細胞タイプを示す生物学的プロセスを、より正確に同定し、解析することができます。
さらにフローサイトメトリーのもう1つ大きなメリットがあります。他の解析手法では、タンパク質の単離と解析に多量の細胞が必要になりますが、フローサイトメトリーは少ない細胞を解析することが可能で、入手が限られる患者由来の組織サンプルや、初代培養細胞の解析にも適しています。
このように、フローサイトメトリーには固有の利点があり、様々な研究分野において、時間や経済的コスト効率の良い、理想的な細胞の免疫表現型解析手法と言えます。
フローサイトメトリーの結果に大きく影響する重要なポイント
フローサイトメトリー実験を成功させるには、標的への結合親和性や特異性が検証された、適切な一次抗体を選択する必要があります。これは、タンパク質発現の微小な差異を元に、細胞のタイプや状態を識別する場合に特に重要です。さらにフローサイトメトリーは蛍光を検出するため、スペクトルの重複を最小限に抑えるように蛍光標識を慎重に選択する必要があります。これは、1度の実験で複数のパラメーターを解析する場合に特に重要です。蛍光色素は一次抗体に直接結合させるか、一次抗体の免疫動物種と免疫グロブリンのアイソタイプに応じた二次抗体に結合させて、間接的に検出することができます。間接的に検出する場合は、一次抗体の免疫動物種やアイソタイプを変えることで、それぞれの実験で同時に検出する標的の数を増やすことができます。このように、これら3つのパラメーターを注意深く選択し、計画的に用いることで、複数の抗原を1度の実験で適切に検出することができ、堅牢で質の高いデータを得ることはできます。
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