金曜日の夜です。あなたは、顕微鏡でいっぱいの暗く小さな部屋にこもっています。 友達と出かけることもできましたが、この免疫組織化学染色 (IHC) が何か小さなことかもしれないけれど重要な発見に導くと信じ、誘いを断り研究所に残ることにしました。しかし、顕微鏡をのぞいても、見えるのは何かぼんやりしたものだけです。コントロールは確認できますか?
何の言い逃れもできません。これは失敗です。
IHCのトラブルシューティング
では次に何をしますか?私だったら、全力でスライドをゴミ箱に投げ捨てて、友達に会いに行きます。「明日実験を再評価しよう」と考えながら...
このような場合、どこから始めたら良いのでしょうか?IHCを成功させるには、高度に特異的で親和性の高い一次抗体が重要であることはご存知だと思います。でも、システムのpHとイオン強度を確立するプロトコール関連製品 (バッファーなど) も同じぐらい重要であることはご存知ですか?これらの試薬は、一次抗体とそのエピトープの結合に影響し、アッセイの結果に劇的な影響を及ぼします。
アッセイに最適な試薬を選び (そしてラボで過ごす金曜日の夜が実り多いものとなるように)、これから数回の投稿で、プロトコール関連製品がIHCにどのような影響を与えるかについて取り上げます。そして例として、弊社抗体の1つであるPLK1 (208G4) Rabbit mAb #4513のプロトコールを最適化した経験をお話しします。
この抗体を初めて試験したとき、弊社の標準プロトコールでシグナルを見せませんでした (A)。プロトコール関連製品をひとつひとつ変えていくと、一次抗体の希釈率は一度も変えることなく強くきれいなシグナルを生成するようになりました。
ステップ1:抗原賦活化
ホルマリンなどクロスリンク固定剤は組織の構造的完全性を保存や維持に有効であるため、IHCのサンプル調製によく利用されます。残念ながらこれらの固定剤は、抗体が認識するように作られているエピトープを埋め込んでしまう可能性があります。
固定操作の過程でマスキングされたエピトープを露出させる (抗原を賦活化する) 必要があり、このためにいくつかの方法があります。プロテイナーゼKのようなタンパク質分解酵素を用いた方法、熱処理でクロスリンクした化学結合を切断してタンパク質を解く方法 (HIER:heat-induced epitope retrieval) などです。どちらの方法もエピトープを露出させることで一次抗体のアクセスを助け、IHCによる染色が可能になります。
CSTで最もよく使う抗原賦活法はHIERですので、この手法について詳述します。HIERでは組織切片をバッファーに浸したまま加熱し、その後冷却します。バッファーのpHは、冷却後もタンパク質の解かれた構造を保つため、解析対象のエピトープ-抗体の相互作用に最適化する必要があります。やや酸性のバッファー、クエン酸 (pH 6.0) は幅広いエピトープの賦活化に効果的ですが、EDTA (pH 8.0) のようなより塩基性のバッファーを要するエピトープもあります。
PLK1 (208G4) Rabbit mAbの最適化には、最も広範囲のエピトープで使えるクエン酸バッファーをHIERに使いました。他のプロトコール関連製品をステップごとに変更する際も、この方法を採用しました。
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