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学会での人脈作り:内気な科学者のための5つのヒント

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人脈作りは、研究者のキャリアにとって大変重要です1。多くの専門家が、人脈作りや人脈作りのためのトレーニングは博士研究員やポスドクにとって不可欠なものであると考えています。このような経験は、誰にとってもかけがえのない財産となり、就職活動や新たな仕事上の関係を築く際の自己紹介を大きく向上させます。

しかし、見知らぬ人との会話や、恩師や同僚から新しい仲間を紹介されることが怖くてたまらない場合は、どうすれば良いでしょうか?本ブログでは、特に内気な人にも役立つ人脈作りのヒントをいくつか紹介します。

カンファレンスでの人脈づくり

1. 事前準備が重要

人付き合いに割く時間やエネルギーがあまりない場合は、事前準備が重要になります。人脈作りの準備には、いくつかの方法があります。まずは、「エレベーターピッチ」の作成、つまり自分の仕事と求めているものが何かを簡潔にまとめる方法です。他人と話すのが得意ではなく緊張しやすい人は、あらかじめ用意した「定型句」をいくつか用意しておくと安心です。これは特に、相手に圧倒されそうな時や、適切な言葉を見つけるのに苦労する時に便利です。

次に、人脈作りをして何を得たいかを考えます。科学的な疑問を解決できるかもしれない特定の技術を持った専門家との共同研究を考えていますか?それとも、次の仕事を探していますか?または、指導してくれる方を探していますか?事前に意図を明確にして目標を設定することは、誰にアプローチし、何を話すべきかを決める際に大いに役立ちます。

3番目になりますが、特定の人を標的にする場合は、学会に誰が参加するのかを知っておく必要があります。いつ思いがけない機会に行き当たるかはわかりませんが、人付き合いに疲れるまたは気後れすると感じる方は、事前に交流する相手を選んでおくと良いかもしれません。相手の背景 (特に興味がある研究、彼らの最新の発表論文、出身校、同期に誰がいるかなど) をある程度調べておくと、良い交流を行い継続的なつながりを作ることができるかもしれません。

2. 自分に合った学会を選ぶ

多くの科学分野において、様々なタイプの学会が存在しています。参加者が数千人規模の多様な分野にわたるセッションを並行して行う大規模な学会から、参加者が50-500人程度のより専門的な技術に関する学会に至るまで多岐にわたります。 

人脈作りの機会に関しては、大きければ大きいほど良いというわけではありません。複数のセッションが同時に行われる大規模な学会では、出席者は次の講演に行こうと急いでおり、つながりを築き発展させていく機会はあまりありません。小規模な学会は、よりディスカッション指向が高く、セッション中に知り合うチャンスがあるため、気まずい自己紹介の必要がないかもしれません。 

経験が少ないうちは、小規模な学会から始め、自信がついてきたらより大規模な学会へと移っていくのが良いかもしれません。

3. しっかりと耳を傾ける

人脈作りとは、双方向のやり取りです。他者をサポートすることに喜びを感じる非常に利他的な方もいるかもしれませんが、最も成功する人脈作りとは、相互に利益が得られる機会から生まれます。聞き上手になることは、良い人脈作りに欠かせません。このスキルにより、重要な情報を相手と共有する機会を作り、仕事または共通の目標に関する相互的なつながりを発展させることができます。

たとえ学会中に1人または2人としかつながりを作れなかったとしても、そのつながりが有意義で、あなたが必要としていることに関連し、相互理解が深まっていれば、学会に参加している全員と知り合うよりもはるかに価値があります。

自由な回答を求める質問 (オープンエンドクエスチョン) をすると、自分が話さないといけないというプレッシャーからも解放されます。多くの研究者にとって、自分の研究について話すことほど好きなものはありません。そのため、オープンエンドクエスチョンを投げかけることは、相手に考え方を共有する場を与え、あなたが何か新しいことを学ぶ良い方法になります。

4. 休憩を取る

カクテルアワーや夕食会などの夜のイベントは、よりリラックスした人脈作りの機会となります。しかし、特に内気な出席者にとって学会への参加は大仕事です。連続した会話などの場合、いつでも会話ができるようにと緊張状態から解放されることがなく、プロフェッショナルとしての自分を維持し続けなければいけないというプレッシャーにさらされ続けるため、当然のことながら疲れを感じてしまいます。多くの学会は数日で終わるため、できるだけ多くの人脈作りを行わなければいけないというプレッシャーを自分に課してしまいがちですが、この状態を保つのは、特に内気な人にとっては難しいことです。休憩が必要なら、休憩をとりましょう。毎日の休憩時間ををあらかじめ計画しておくと、このプレッシャーをコントロールするのに役立ちます。休憩時間のバランスをとり、リラックスした夜の交流会も含め、学会のあらゆる側面から利益を得られるようにしましょう。

 上記のように、興味のない議論を無理に楽しむよりも、目的を明確にした充実した会話をする方が価値あります。

5. オンライン化

すべての人脈作りを、直接会って行う必要はありません。COVID-19が出現して以来、科学研究を推進するためのソーシャル・ネットワーキングの価値に対する認識が高まっており2,3、特に科学コミュニケーションと普及するためのコミュニティにおいて、SNSを使用した、またはオンライン会合を通じての人脈作りが増えています。多くの研究者が今でもResearchGateとLinkedInを人脈作りのプラットフォームとして使用している一方で、Twitter (現「X」) やBlueSky、Mastodon、WeChatを始めとした数々のチャンネルで研究成果を発表している科学者も増えています。他者のポストに対してコメントをして双方向の会話を始めることは、自分の研究分野における自分の存在をアピールする良い方法です。 

オンラインの学会では、より体系化された人脈作りイベントも開催されており、特に控えめな人が交流を始めるのに役立ちます。パネルディスカッションやオンラインの懇親会にも出席するようにしましょう。ディスカッションは、自分の名前を他の人に知ってもらうチャンスであり、会話のきっかけやセッション終了後のフォローアップの話題にもなります。多くの会議では、ダイレクトメッセージ機能も提供されています。ディスカッションが終わらなかったり、積極的な交流の後にさらに質問がある場合などは、この機能を利用して1対1の会合を予定してください。

多くの会議でZoom、Teams、Google Meetなどが使われていますが、他のプラットフォームが使用される場合もあります。使ったことのないプラットフォームで使い方がわからない場合などは、恐れずに助けを求めましょう。多くの人脈作りが両方の環境で行われている今、オンラインの機会も対面と同様に最大限に活用してください。

まとめ

オンラインであっても対面であっても、人脈作りは難しいものではありません。自分のペースで物事を進め、準備し、誰もがあなたと同じように大変さを感じていることを忘れないでください!

人脈作りは、練習あるのみです。イベント前に準備をし、小さな目標から始めます。1回の学会で、1人の人と新しいつながりを持つことができれば大成功です。練習を重ねることにより、自分に最も合った人脈作りのスタイルを発見し、自信を持つことができるようになります。最終的には、このプロセスすべてを楽しめるようになるかもしれません。

 

参考文献

  1. Subramanian S. The Importance of Conferences and Networking in PhD and Postdoctoral Training. Curr Protoc Essent Lab Tech. 2020;21(1). doi:10.1002/cpet.44
  2. Crawford M. Biologists Using Social-networking Sites to Boost Collaboration. BioScience. 2011;61(9):736-736. doi:https://doi.org/10.1525/bio.2011.61.9.18
  3. Maxmen A. Networking in times of pandemic. Nature Computational Science. 2021;1(6):385-385. doi:https://doi.org/10.1038/s43588-021-00096-x

    23-FLE-75743

Kenneth Buck, PhD
Kenneth Buck, PhD
細胞生物学を学んだKenは、ラトガース大学で博士号を取得し、その後イェール大学でポスドク研究を行い、再生する神経細胞の細胞運動性に関与する細胞骨格の動態とシグナル伝達機構について学びました。CSTでは、他の科学者と協働してマルチメディアによる科学コミュニケーションを構築しています。ビデオのスクリプトを書いているときや、スタジオにいるとき以外は、Kenの庭ともいえる岩でごつごつしたマサチューセッツ州ノースショアで、同僚と共にマウンテンバイクを乗り回しています。

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