「前途有望な黒人科学者の表彰」は、生命科学を学ぶアフリカ系アメリカ人の専門的能力の開発を支援する資金を提供することで、障壁を取り除き、機会を創出することを目的として、2020年にCell Signaling TechnologyとCell Pressにより設立されました。初めて目にした方もいらっしゃるかと思いますが、この賞では米国の若手黒人研究者2名(学部学生1名、大学院生/ポスドク1名) に10,000ドルの賞金と、1,000ドル相当の科学資材を授与しています。Cell PressとCell Signaling Technologyはともに、これが影響力の強い、変化をもたらす年次イベントになることを願っています。
Cell Press社は、今回の受賞者であるハワード大学学部生Fola Olusanya (FO) 氏と、イェール大学ポスドク研究員Chrystal Starbird (CS) 博士にインタビューを行い、今回の受賞が彼女らに与えた影響と、今後の応募者へのアドバイスを尋ねました。
「前途有望な黒人科学者」の受賞において最も有意義だったことは何ですか?
CS:この賞を受賞したことで、Cell誌に掲載されたことや素晴らしいチームと一緒に仕事ができたことなど、多くのメリットがありましたが、私の小論文がより若い科学者に与えた影響について、彼らからコメントをもらうことが最も有意義であったと考えています。私にとってこの賞の最も素晴らしいことは、表に出て真実を語る機会が与えられ、これにより同じような背景をもつ他の人々を勇気づけ、自分は1人ではない、自分にも科学の世界に活躍の場があると思ってもらえるかもしれないことだと思います。
FO:この賞を受賞したことで、特にCell誌に掲載されたことなど、素晴らしいことがたくさんありましたが、私の小論文を楽しんでくれた他の黒人科学者との繋がりが最も有意義であったと思います。彼らがかけてくれた親切な言葉を聞いて、私は科学の道を進む決意を固めました。
この賞を、専門的能力の開発に役立てることはできましたか?
FO:私はこの賞金を、ニューヨーク大学微生物学博士課程への異動のための旅費や住居の保証金などに充てることができました。
CS: この賞を受賞したことで、科学コミュニティーにおける私の知名度が上がり、アカデミアの内外から数多くの仕事のオファーがありました。私はまだ仕事のオファーを受けられる段階ではありませんが、今後のキャリアアップに有益な新たなコネクションを築くことができました。また、この賞金のお陰で、研究室での自分の研究の方向性を少し自由に決めることができました。
今後の受賞者に、この賞はどのような恩恵をもたらすと思いますか?
CS:今後の受賞者にも、自分の声が大きく取り上げられることで、自身のためにもコミュニティーのためにも、良い影響があることを実感して欲しいと思います。また、今後の受賞者にはキャリアを積んだ同業者から、指導や支援を受ける機会を得ることができれば良いと思います。
FO: 経済的な利益はもちろんですが、今後の受賞者がコミュニケーターとしての能力に自信をつけることができれば良いと思います。
今後のこの賞の応募者へのアドバイスはありますか?
FO:今後の応募者への私からのアドバイスは次の通りです。自分にとって自然な方法で自分自身を語ってください。型に嵌め込んだり、よく書けた他人のテンプレートに合わせようとしないでください。思うがままに書いてみてください!
CS: あなたの真実を語ってください。正直なところ、小論文を書いたときには、ちょっと正直すぎるかなと思いましたが、自分が最も語りたい経験はこれだとも思いました。素晴らしい賞を受賞できたというだけでなく、Cell誌が私達の話を熱心に聞いてくれる姿勢を見せてくれたので、大変勇気づけられました。
前途有望な黒人科学者の表彰に関する詳細はこちら
Cell PressでChrystal Starbird博士とFola Olusanya氏が2020年に受賞した小論文を読むことができます。
Cell Signaling TechnologyとCell Pressでは、「前途有望な黒人科学者」に当てはまると思う方からの応募をお待ちしています。Starbird博士の言葉を借りるなら、「あなたの真実を語る」ことで、次の受賞者に相応しいことを説明してください。応募はこちら。
重要なお知らせ:Elsevier財団とのさらなるパートナーシップの締結により、前途有望な黒人科学者の受賞者は4名 (学部学生2名、大学院生/ポスドク2名) となり、さらに特別賞受賞者4名 (学部学生2名、大学院生/ポスドク2名) を選定することになりました。受賞者には10,000ドルの賞金に加え500ドルの旅費が、特別賞受賞者には500ドルが授与されます。詳細についてはCell Pressをご覧ください。