細胞状態や細胞応答をどのようにモニタリングするか、迷われていますか?基礎研究の観点から見ると、シグナル伝達経路は非常に複雑に絡み合っており、例えば特定のタンパク質が修飾されているかやエピジェネティックなイベントが起こる場合、結果を完全に理解するためには細胞指標が必要になります。今日の出版の世界では、特定の刺激に曝露された際にタンパク質がリン酸化されることを知っているだけでは十分ではなく、リン酸化のイベントが細胞集団の挙動に与える影響も知っていなくてはなりません。トランスレーショナル医学研究の観点から見れば、治療法の候補に対して細胞集団がどのように応答するかを知ることは極めて重要です。これには、神経変性疾患におけるアポトーシス、腫瘍性疾患における老化、およびウイルス感染における免疫応答の探索が含まれます。
細胞状態は、調べたいプロセスに関連する主要なマーカーや指標を測定することでモニタリングできます。特定のプロセスの場合、異なる方法によって複数の指標が得られることもあります。このため、主要なマーカーを複数測定することで偽陽性を防ぐことができ、また、実験に最適なマーカーやアプリケーション、検出方法を柔軟に選択することができます。
例えばアポトーシスのモニタリングには、細胞死の様々な特性やシグナル伝達経路を標的とする複数の方法があります。TUNEL (Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling) は、アポトーシス後期にみられる断片化されたDNAを検出する染色法です。これはフローサイトメトリーや免疫組織化学染色、蛍光顕微鏡を用いたアポトーシス細胞の検出に広く利用されています。また、フローサイトメトリーではホスファチジルセリン (PS: Phosphatidylserine) に結合するAnnexin Vもよく利用されます。この方法では、細胞膜の内側に存在するPSがアポトーシス初期に外側に現れることを利用し、アポトーシスの初期段階をモニタリングします。さらに、Caspase-3の活性化を利用して、ウェスタンブロットや免疫組織化学染色、蛍光顕微鏡でカスパーゼによるアポトーシスをモニタリングすることもできます。
細胞老化も複数の方法でモニタリングすることができます。一般的なアプローチの1つとして、細胞老化の特性であるβ-ガラクトシダーゼの増加を測定するアッセイがあります。フローサイトメトリーやプレートベースのアッセイによる蛍光の検出や、染色キットによるイメージングで、酵素活性を定量的に測定することができます。また細胞老化は、ウェスタンブロッティングや免疫沈降、免疫組織化学染色、免疫蛍光染色、フローサイトメトリーといった方法でp16 INK4A、p21 Waf1/Cip1、Lamin B1などの細胞老化のマーカーの発現を検出することによってモニタリングすることもできます。
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