免疫組織化学染色 (IHC) は、組織の空間的背景を保持したまま、バイオマーカーの発現を検出する最も単純な方法です。ご存知のように、IHC結果の信頼性は抗体の特異性や性能に大きく左右されます。これは大きな危険性をはらんでおり、本来、抗体は100%の信頼性をもって目的の標的を検出すべきです。
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CSTによる免疫組織化学染色の検証
ここに抗体検証の意義があります。では、IHC検証には何が必要でしょうか?単一のアッセイのみで特異性を確認することはできません。包括的なデータパッケージが必要になります。
このビデオでは、このようなデータパッケージを得るためのIHC検証のアプローチをいくつか紹介します。
- 細胞ペレット
- 複数の組織サンプル
- IHCの検証のための処理
Cell Signaling Technologyは、社内で抗体の開発と検証を行っています。検証にはIHCなどの多くのアプリケーションが含まれます。CSTのIHC検証済み抗体は、IHCチームによって厳格に試験され、承認されたものです。また、検証の関連データや推奨プロトコール、関連試薬をcellsignal.comからご覧いただけます。関連試薬は社内検証で使用しているものと同じものですので、安心してご利用いただくことができます。
それでは、CSTで行っているIHCの抗体検証のアプローチをいくつかご紹介します。
細胞ペレット
パラフィン包埋した細胞ペレットを調製し、標的タンパク質を異なるレベルで発現することが分かっている細胞どうしの比較で抗体の特異性を評価します。あるいは、siRNAやshRNA実験で標的タンパク質の発現量が異なる細胞を調製し、コントロールとノックダウンの細胞ペレットの染色を比較することもあります。
低分子活性化剤や阻害剤を用いて標的の発現量を調節し、total抗体やリン酸化特異的抗体の検証に利用することもあります。リガンドで処理した細胞ペレットを用いた実験で、標的タンパク質の発現の誘導や抑制を確認したり、ここに示すように局在の変化を確認することもあります。
複数の組織サンプル
Cell Signaling Technologyは複数の組織サンプルを用いてIHCの検証を行っています。抗体のタイトレーションを行って最適希釈率を決定し、これを製品データシートやウェブページに記載しています。
抗体の検証過程で、標的タンパク質を異なるレベルで発現することが分かっている広範な組織サンプルを比較して、抗体の特異性と性能の評価をしています。疾患関連分子を認識する抗体は、関連するヒト組織サンプルを使用して、免疫組織化学染色の試験を行っています。マウスに交差反応する抗体は、正常マウス組織や同系腫瘍モデル、その他マウスモデルを用いて検証しています。
IHCの検証のための処理
活性化剤や阻害剤、ブロッキングペプチドによる処理をIHCの適切なタイムポイントで行って標的の発現を操作し、修飾の特異性を検証しています。ブロッキングペプチドとのインキュベーションによりIHCにおける抗体の特異性を試験し、他の検証実験を補完することもあります。
リン酸化特異的抗体の検証では、ホスファターゼによりタンパク質のリン酸基を除去してリン酸化特異性を確認しています。サンプル調製前の薬物処理を、標的タンパク質の発現レベルのほか、翻訳後修飾レベルの操作にも利用しています。この例では、マウス異種移植片モデルでラパマイシンを使用しています。
免疫組織化学染色の結果に自信を持つ
抗体の検証は重要であり、単一のアッセイだけで特異性を確認することはできないことを強調します。複数のアッセイを組み合せたIHCデータパッケージによって、CST抗体でみられる染色の特異的と信頼性が保証されています。
次回のIHC実験に関する詳細情報を希望される場合は、当社IHCリソースページをご覧ください。