より迅速かつワンステップのT細胞活性化
T細胞のシグナル伝達における初期のイベントは、活性化の数秒後から数分以内に発生するため、通常は、数日間かけて行う従来の長期的なT細胞活性化手法では研究できません。このようなイベントの測定にご興味がある、あるいは、より短い実験時間で実施できる迅速な活性化キットをお探しの場合は、Rapid-Act T Cell Activation Kit (Human, Anti-CD3/CD28) #70976または Rapid-Act T Cell Activation Kit (Mouse, Anti-CD3/CD28) #86772をお選びください。活性化に用いるRapid-Act法は、T細胞を刺激するタイムコース実験の微細なコントロールを可能にし、活性化過程の初期に発生するシグナル伝達イベントを理解するためのメカニズム解析において特に有用です。
ヒト末梢血単核球細胞を未処理、Phospho-SLP-76 (Ser376) (E3G9U) XP® Rabbit mAb (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #47876 (上段) または同濃度のRabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #2975 (下段) を用いてRapid-Act T Cell Activation Kit (Human, Anti-CD3/CD28) #88179) で処理 (15分間:右カラム) し、CD3 (UCHT1) Mouse mAb (APC Conjugate) #19881と共染色してフローサイトメトリーで解析しました。
従来のキットと同様に、これらのキットにはT細胞の活性化に必要なエンドトキシンおよびアジ化物フリーの検証済み抗体が含まれていますが、CD3抗体とCD28抗体は、あらかじめ組み合わせた単一の抗体カクテルとして提供しています。
たった1回のインキュベーションで細胞が刺激できるこの迅速なプロトコールは、インキュベーションと洗浄にかかる時間を最小限に抑え、活性化のタイムコース実験を数分レベルで実施することを可能にし、T細胞の増殖を刺激する他の従来の方法と比べて、高い柔軟性を有しています。さらに、ダイナビーズを用いてT細胞を活性化するプロトコールでは、目詰まりによってデータが損なわれ、活性化効率が低下しないように、フローサイトメトリー解析の前にサンプルからビーズを除去するステップの追加が必要であり、より実験に時間がかかります。
活性化からサンプル解析までの時間の短縮は、初期のイベントまたは短い間だけ生じるシグナル伝達イベントの測定を行う際に、極めて重要になります。CST® Rapid-Act T Cell Activationキットを用いて活性化されたT細胞は、T細胞の増殖および疲弊アッセイにも使用可能であり、免疫応答の初期および後期に生じる生物学的プロセスを調査することができます。
Cell Stimulation Cocktail (with Protein Transport Inhibitors) (500X) #23318などの細胞刺激カクテルとPMA (phorbol 12-myristate 13-acetate) およびIonomycinを用いた、化学的な急性のT細胞活性化の誘導はどうでしょうか?この方法で細胞を処理すると、T細胞受容体を介さずに下流のシグナル伝達カスケードを活性化するため、実際のin vivoにおける生物学を反映していない可能性があります。
T細胞活性化の次に行うこと
T細胞を活性化したら、フローサイトメトリーや免疫ブロット法などのアプリケーションを用いて次の実験を行います。ウェスタンブロットおよびフローサイトメトリー用のCST抗体は、Hallmarks of Antibody Validation™に従って、CSTの科学者によりアプリケーションごとに厳密かつ独立して検証されているため、研究者は細胞ベースのアッセイを用いて答えを導き出すことに集中できます。CSTが提供する、信頼できる検証済みツールにより、免疫系を刺激し、がん細胞を識別して攻撃するという革新的な方法を簡単に特定できるようになりました。これにより、がんが過去の疾患となる日が近づいてきています。
その他のリソース
- ヒト免疫細胞マーカーガイドまたはマウス免疫細胞マーカーガイドを用いて、お手持ちのサンプル内に最初から含まれる免疫細胞の種類を特定してください。
- T細胞受容体シグナル伝達のインタラクティブパスウェイ図をご覧ください。
参考文献
- Waldman AD, Fritz JM, Lenardo MJ. A guide to cancer immunotherapy: from T cell basic science to clinical practice. Nat Rev Immunol. 2020;20(11):651-668. doi:10.1038/s41577-020-0306-5
- Shah K, Al-Haidari A, Sun J, Kazi JU. T cell receptor (TCR) signaling in health and disease. Signal Transduct Target Ther. 2021;6(1):412. Published 2021 Dec 13. doi:10.1038/s41392-021-00823-w
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