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ChIP/ChIP-seqに関する通説を打破する:モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の違い

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クロマチン免疫沈降「ChIP」アッセイを多数行っている研究者は、おそらくは皆さんの助言者でさえも、ポリクローナル抗体はモノクローナル抗体より性能が高いという考え方に同意されていることと思います。でもこれは本当に常にそうなのでしょうか?

これら2種の抗体の違いを、抗原認識と特異性という観点から理解し、この通説を打破するのに時間を取ることは、時間に見合うだけの価値をもたらしてくれます。 

クロマチン免疫沈降におけるモノクローナル抗体とポリクローナル抗体

18-CHP-27936 Blog- ChIP experiment Abs- mono vs poly 800x400適切に検証されたモノクローナル抗体は、1つの抗原の1つのエピトープのみを認識するものであり、非常に特異的です。一方、ポリクローナル抗体は、1つの抗原の複数のエピトープを認識します。ポリクローナル抗体は、抗体の混合物です。例えば、ホットな新しい標的を研究するときで、モノクローナル抗体を作り検証する十分な時間がないときには、ポリクローナル抗体を使うしかない場合もあります。しかしそのような場合以外は、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体のいずれかを選択できます。

ChIPの経験がなく、どこから始めればよいか分からない?ChIP初級者からChIPマスターに変貌を遂げたある科学者の話をお読みください: Keep CHiP'ing Away

ポリクローナル抗体に関する認識の1つとして、エピトープへのアクセス性に対し懸念があるとき、複数のエピトープが認識できればChIP内の標的タンパク質をプルダウンできる可能性が高くなるというものがあります。実際には、これはポリクローナル抗体を生成するために、遺伝子組換え型の全長タンパク質が使われている場合のみです。ChIP用のポリクローナル抗体の多く (特に修飾状態に特異的な抗体) は、わずか20~40個のアミノ酸長を持つペプチド抗原に対し生成されます。これは予想されるよりも少数のエピトープであり、エピトープは互いに重複している可能性があります。つまり、「複数のエピトープ」のメリットが得られる可能性は高くないということです。

抗体のロット間のばらつきが起きても平気ですか?

ポリクローナル抗体すべてにおいて考慮すべき重要なことが、もう1つあります。ポリクローナル抗体混合物中の1つ以上の種が非標的タンパク質と交差反応し、バックグラウンドシグナルになってしまう可能性があります。ポリクローナル抗体を試験するときは、バックグラウンドは十分に低いと思われるかもしれません。しかしポリクローナル抗体では、個々の抗体種のモル比がロット間で異なり、そのためポリクローナル抗体混合物の全体的な特異性もロット間で変動するという問題があります。各ポリクローナル抗体のロットは限りのある資源であると考えてください。なぜなら、次のロットは異なる性能特性を示す可能性があるからです。

ロット間のばらつきは作業に影響を与えます。論文は1年以内に発表できるかもしれません。でもその後に、追跡調査研究を翌年に行うときには新しいロットのポリクローナルに切り替えなくてはならず、もううまくいかないということにもなりかねません。(「ああ、しまった!」)

追加リソース:CST ChIPのプロトコール

でも良いお知らせがあります。モノクローナル抗体は、単クローン性であるが故に、特異性のロット間変動がはるかに低く抑えられます。これはChIP実験だけでなく他のアプリケーションでも同じです。そしてポリクローナル抗体のロットと違い、モノクローナル抗体 (組み換えラビットモノクローナル抗体を含む) は再生可能な資源です。

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の直接 (ChIP対ChIP?) 比較 

Epigenetics & Chromatinに最近発表された論文では、Broad Instituteの研究者らが、ChIP-seqにおける性能についてモノクローナル抗体とポリクローナル抗体間で比較する、体系的な研究を実施しました。解析のために、4つの主なヒストン修飾が選択されました。モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の性能は、ゲノム全体のリードアウトと領域特異的なリードアウトの両方において、高度に相関していました。著者らは、広く使われているポリクローナル抗体をモノクローナルで代用し、信頼性を高め (上述した一貫性と再生可能性の理由から) 、ChIP-seqデータベースの解釈を簡略化することができると結論付けました。

一貫性と再生可能性が価値を持つのは、抗体が検証済みである場合のみであることを覚えておいてください。CST製造の抗体は、ChIPを含むアプリケーションすべてにおいて厳格に検証されています。特異性は関連のある方法やモデルシステムを用いて試験されています。このような方法やモデルシステムには、以下が含まれますが、これらに限定されるものではありません:上流シグナル伝達を調節するための阻害剤/活性化因子の添加;陰性、陽性および過剰発現された細胞株;ならびに、遺伝子改変ノックアウト/ノックダウン細胞株。こう聞けばCSTのChIPとChIP-seq用の試薬で最も人気があるのは、遺伝子組み換えモノクローナル抗体であるのは、意外なことではないと思います。  

当社のツールがどれほど優れているか知りたいですか?ChIPとChIP-seqで行った性能の直接比較は、こちらからご覧ください:

ChIP/ChIPseq性能比較

 

Kenneth Buck, PhD
Kenneth Buck, PhD
細胞生物学を学んだKenは、ラトガース大学で博士号を取得し、その後イェール大学でポスドク研究を行い、再生する神経細胞の細胞運動性に関与する細胞骨格の動態とシグナル伝達機構について学びました。CSTでは、他の科学者と協働してマルチメディアによる科学コミュニケーションを構築しています。ビデオのスクリプトを書いているときや、スタジオにいるとき以外は、Kenの庭ともいえる岩でごつごつしたマサチューセッツ州ノースショアで、同僚と共にマウンテンバイクを乗り回しています。

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