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ウェスタンブロッティングを用いたPTMによる活性化状態の解析

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翻訳後修飾 (PTM: Post-translational modification) は、細胞がタンパク質の機能を厳密に制御する重要なメカニズムです。これは共有結合による可逆的な修飾であり、タンパク質の折り畳みやタンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質-DNA相互作用、タンパク質の寿命や局在、受容体の活性などタンパク質の状態を変化させます。このようにして、酵素活性や細胞周期、アポトーシス、遺伝子発現などの生物学的プロセスが制御されています。

一般的な翻訳後修飾 (PTM)

一般的な翻訳後修飾には、リン酸化アセチル化メチル化などがあります。タンパク質上の複数の異なるアミノ酸が異なる修飾を受け、これらの組み合わせによってタンパク質の挙動が変化します。例えば、p53は50種類もの異なる翻訳後修飾を受けます。

p53融合タンパク質のウェスタンブロット解析未処理、またはDNA-PKによるリン酸化を受けたp53融合タンパク質を、Phospho-p53 (Ser15) Antibody #9284 (上) および p53 Antibody #9282 (下) を用いてウェスタンブロットで解析しました。

DNA損傷への応答では、p53のSer15Ser20がリン酸化されることにより、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼ MDM2との相互作用が阻害され、p53の蓄積と活性化が促進されます。アポトーシスの誘導には、Ser46のリン酸化が重要な役割を果たします。p53のLys164がアセチル化されると、細胞周期の停止を誘導します。また、Lys373がアセチル化されると、p53のN末端残基の過剰なリン酸化がもたらされ、アポトーシスを誘導する遺伝子のプロモーター (DNA) への結合が促進されます。

このほか、ヒストンなどの翻訳後修飾も複雑です。例えば、ヒストンH3上のLys9のアセチル化は、ヒストンの配置やクロマチン集合に重要な役割を果たすのに対し、Ser10Ser28Thr11のリン酸化は、有糸分裂や減数分裂における染色体の凝集に密接に関わっています。ヒストンH3のメチル化は、転写の活性化に関与する場合と抑制に関与する場合があります。これらはタンパク質の翻訳後修飾の複雑さを示す例のごく一部に過ぎません。

Phospho-Histone H3 (Ser10) Rabbit mAb未処理あるいはNocodazole #2190処理 (100ng/mL、16時間) したHeLa細胞の抽出物を、Phospho-Histone H3 (Ser10) (D7N8E) XP® Rabbit mAb #53348 (上) あるいは Histone H3 (D1H2) Rabbit mAb #4499 (下) を用いてウェスタンブロットで解析しました。抗体のリン酸化特異性は、ライセートをさらなるλホスファターゼ処理により確認しました。

タンパク質の翻訳後修飾を制御するメカニズムの破綻ががんや循環器疾患、神経変性疾患など様々な疾患で見られ、深刻な結果を引き起こすことが分かっています。しかし、タンパク質がどのように修飾を受け、それらがどのような意義を持つのか、分かっているのはほんの一部のみです。

ウェスタンブロッティングを用いたPTM解析

それでは、サンプル中のタンパク質の翻訳後修飾状態はどのようにモニターすれば良いでしょうか?ウェスタンブロットは、特定残基の修飾に対する、総タンパク質の測定に特異性の高い抗体を用いることができるため、特に便利です。

WBでの理想的な抗体の組み合わせを検討する時間がありませんか?Cell Signaling Technology (CST) は、タンパク質の活性化状態を評価できる、修飾特異的なDuetペア製品を特定しています。細胞を調節因子で処理したり、特定の条件下で培養することで、特異的な細胞状態を誘発できます。その後、特異的なPTM抗体により、未処理のコントロールと比較した修飾タンパク質の存在量や、そして総タンパク質量に対する修飾タンパク質の存在量を特定できます。PTMに特異的な抗体が同じタンパク質上の他のPTMと交差反応を起こしていなければ、これは非常に有益な情報となります。さらに、PTMに特異的な抗体は、低レベルの修飾タンパク質でも検出できるだけの感度をもっている必要があります。

PhosphoPlus GCN2 (Thr899) Antibody Duet PairPhosphoPlus GCN2 (Thr899) Antibody Duet #26168:UV (50 mJ/cm2、30分回復:+) で処理、または未処理 (-) のHT-1376細胞からの抽出物を、Phospho-GCN2 (Thr899) (E1V9M) Rabbit mAb (上)、GCN2 (E9H6C) Rabbit mAb #40457 (中)、または β-Actin (D6A8) Rabbit mAb #8457 (下)を用いてウェスタンブロットで解析しました。

ウェスタンブロットは非常に柔軟で、実験のデザインにはいくつかの選択肢があります。

ウェスタンブロットに用いる化学発光基質を選択する段階においても、シグナル強度を最大化したいか、S/N比を重視したいかによって多くの選択肢があります。

PTM解析用に検証されたウェスタンブロット用抗体

Cell Signaling Technology (CST) は、お客様と同じ科学者が運営する会社です。したがって、お客様がウェスタンブロット試薬に求めているものを熟知しています。さらに、すべてのCST抗体は、特定のアプリケーションごとに特異性や感度、再現性について検証済みであるため、お客様は研究に専念することができます。

 

追加リソース:

WBプロトコール、トラブルシューティングのヒント、アプリケーションノートなどをまとめた、CSTのウェスタンブロットのリソースセンターをご覧ください。お客様の研究に役立つ、以下の内容をご用意しています。

Andrea Tu博士
Andrea Tu, PhD
Kallidus社グループのScientific Marketing ManagerであるAndrea Tu博士は、最新の科学的動向や開発の知識を得るのに夢中です。博士は、カリフォルニア大学バークレー校で分子細胞生物学の博士号を取得し、TGF-βシグナル伝達経路におけるSmadの翻訳後修飾について研究しました。Andrea博士は、カリフォルニア大学サンディエゴ校、ソーク研究所、スタンフォード大学、Agilent Technologies社、Bio-Techne社で20年にわたり、研究開発、営業サポート、マーケティングなどの技術職に携わってきました。

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