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ChIPでより良い結果を得るための4つのステップ:ステップ2 – クロマチンの調製

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本シリーズのパート1では、プロトコールに適切なコントロールを組み込むことの重要性を説明しました。今回は、クロマチンの調製が実験の最終結果にどのように影響するかについて調べます。

まず最初に、検出しようとしている相互作用のタイプについて検討してください。

  • ヒストンとDNAとの相互作用のような高頻度かつ非常に安定なタンパク質-DNA相互作用は、十分に頻繁に起こるため、プロトコールが完全に最適化されていなくても検出できます。
  • 特定の遺伝子に対するポリコーム群タンパク質 (Ezxh2など) の結合のような低頻度で安定性の低い相互作用は、プロトコールがタンパク質とDNAの完全性を保護できない場合や、目的の標的に対する特異性が低い抗体を用いる場合は、検出閾値に満たないことがあります。

クロマチン調製法についてよく検討しましょう…

ステップ2:クロマチンの調製

多くの研究室では、免疫沈降用にクロマチンを調製する際、ソニケーションを利用しています。ソニケーションは効果的な方法ではありますが、クロマチンを高温や界面活性剤存在下などの過酷な変性条件にさらす必要があり、抗体エピトープおよびゲノムDNAの両方に損傷が生じるおそれがあります。また、ソニケーションでは、実験条件に誤差が生じます。調製の方法や品質は、使用しているソニケーターの種類やメーカー、また使用するソニケータープローブの条件によって変化します。さらに、わずか数秒の違いによって、クロマチンの断片化が不十分、あるいは過剰になるおそれがあります。結果として、この方法では、クロマチンを一貫して同じサイズの断片に調製することは困難です。

対照的に、酵素消化では、Micrococcal Nucleaseを使用してヌクレオソーム間のリンカー領域を切断し、穏やかな条件下でクロマチンを断片化して均一なアレイにします。酵素消化は高温や界面活性剤を必要としないので、細胞数の比率に対して推奨される酵素を使用すれば、一貫した結果が得られます。このように、酵素消化は制御が容易で、抗体エピトープとDNAをせん断したり変性させることなく、一貫性のある、高品質なクロマチンが調製でき、免疫沈降に良い結果をもたらします。

下記に示す実験は、SimpleChIP® Plus Enzymatic Chromatin IP Kit (Magnetic Beads) #9005または他社のソニケーションベースのキットを用いて行いました。まず、SimpleChIP®キットの取扱説明書に則った酵素消化、または他社の取扱説明書に則ったソニケーション処理によりクロマチンを調製しました。クロマチンは、SimpleChIP® Kitまたは他社のキットのいずれかの免疫沈降試薬を用いて下に示した抗体で免疫沈降しました。免疫沈降によって得られたDNAはリアルタイムPCRにより定量化し、クロマチンのインプットに対する比率として算出しました。

酵素消化したクロマチンでは、他社のIP試薬キットとプロトコール、SimpleChIP®キットのIP試薬とプロトコールのいずれを使用した場合でも、ソニケーション処理したクロマチンよりも標的DNA部位が高濃度に存在することが分かりました。この違いは、ポリコーム群タンパク質 (Ezh2 [D] やSUZ12 [E]など) と特定の遺伝子の結合のように、相互作用の安定性が低い場合に顕著でした、

標的標的DNA遺伝子座

ステップ3:免疫沈降 (DNAの回収) はこちらからごご覧に慣れます。


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本記事は、ChIPプロトコールの改善方法に関する4回シリーズの第2回です。これらの投稿は、私達の完全版「Guide to Successful Chromatin IP」から編集したもので、下のボタンをクリックしてダウンロードすることができます。

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