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Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験中に起こると予測される事象や実験のヒント、コツ、情報などを紹介します。

共同研究を成功させるためのガイド

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科学は、地理的および文化的な境界を越えた努力を結集したものです。複雑な地球規模の問題を解決するために、より多くの研究者が協力し、知識や経験、リソースを共有しています。

研究者は、政府機関や民間企業だけでなく、学術機関内 (学内) または学術機関間 (学外) と共同研究を行います。共同研究者間の交流の程度は様々であり、1回限りのものから複数の研究にまたがるより広範なものまであります1

これらのプロジェクトには、仮説の作成や材料の開発 (試薬など)、実験の設計と実行、データ解析、論文執筆への参加といった様々な形があります。また、研究室が共同で助成金の申請を行うこともあり、その結果、数年あるいは数十年にわたる共同研究に発展することもあります。

効率的な共同研究

若手研究者にとって、適切な共同研究先を見つけることは困難です。本ブログでは、共同研究の利点を概説し、共同研究先の確保に役立つ情報を若手研究者に提供することを目的としています。

共同研究の利点

様々な専門知識や技能、見識を独創的に組み合わせることができるだけでなく、共同プロジェクトにより、これまでは不可能であったスキルセットや専門機器、研究施設、資金源を利用する機会が得られるかもしれません。そのため、共同研究は、科学的研究の質と規模を向上させて、より重要で影響力のある成果をもたらすことができます2

また、共同研究は生産性を向上させます。より多くのリソースを活用すれば、プロジェクトをより迅速かつ効率的に完了できます。共同研究は、国際的な学術誌に掲載される可能性も高く、世界中の読者に科学的知見を迅速に届けることができます。

多様な技能や経験は、複数分野にまたがる研究を促し、様々な分野間のギャップを埋めるのに役立ちます。例えば、ビッグデータ時代の今日、データサイエンティストと生物学研究者の学際的な共同研究は一般的になりつつあります。これは、実験を行う研究者が大規模な計算解析を理解する上で重要です。

「データサイエンスが、学術的あるいは理論的な領域から本格的なトランスレーショナル医療へと移行するにつれ、互いの分野で限定的な経験しか持たない仲間とのコミュニケーションや協力を行う新たな方法が必要とされています。」CSTの製品デザイン戦略部門のシニアダイレクターであるAntony Woodが述べています。

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さらに、国際的な共同研究は、異なる文化的背景や慣習を持つ研究者仲間と行う可能性があるため、異文化理解やより効果的な問題解決の促進に役立ちます。また、個人が幅広いネットワーク (人脈) を構築および維持するのにも役立つため、プロフェッショナルな関係を築きたい若手研究者にとって極めて重要になります。

これらの理由から、多くの研究助成機関は、上述したタイプの共同プロジェクトを実施する研究室が報われるように助成金を交付します3,4

自身の強み、弱み、目標を見極める

共同研究者の候補となる相手にアプローチする前に、そのプロジェクトが自身の目的達成にどのように役立つのかを考えてください。多くの研究者は、研究目標の達成を推進するために共同研究を行い、キャリアアップや昇進を二次的な利益として捉えています。具体的な目的だけでなく、最終的な目標を決めることにより、誰にアプローチするかを戦略的に決定できます。また、研究における課題と方法論を明確にすることにより、目標が曖昧になることなく、より効率的に共同作業を行うことができます。

共同研究は、双方向的なものであるため、自身のスキルを評価することも同様に重要です。サポートしてもらいつつ、何かに貢献しなければいけません。自身の得意分野と不得意分野を整理し、不得意分野に関するアイデアがある場合は、その分野の経験者を探すことを検討します。

共同研究相手候補もまた、固有の課題を抱えているため、連絡を取る前に自身が何を提供できるかを考えておく必要があります。彼らが、どのような問題に直面しているかを尋ねたり、サポートできることを提案したりする必要があるかもしれません。

ネットワークの拡大と存在感の向上

共同研究の目的は、アイデアやアドバイス、サポートを求めるためのネットワークを作ることです。まずは、自身の現在のネットワークを確認します。過去の上司や同僚、その他の適切と思われる人に連絡を取り、一緒に研究をしたいと考える人物の紹介、または共同研究者候補の推薦を依頼します。

ネットワークを広げるには、自身と同じ分野の研究者に直接連絡を取ると良いでしょう。シティー・オブ・ホープ総合がんセンターのGang Xiao助教授は、文献を調べて、同じような研究をしている研究者を探すことを勧めています。

彼らの関心や専門知識があなたの目的と一致するのであれば、彼らに共同研究してもらえるかを問い合わせます。人は、自身の研究に関心を持ってくれた相手を好意的に受け止める傾向があります。相手の目的や都合が合わなくても、落胆しないでください。その代わりに、一緒に仕事をしたいと思う人物の紹介や、共同研究者候補の紹介を依頼してみてください。

新鮮な視点を求めるのであれば、恐れずに専門外の人にアプローチしてください。研究のための新しいアイデアに熱意を持ってください。メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターで早期医薬品開発部門のチーフを務めるDavid Hyman氏は、理想的な共同研究者について、「プロジェクトに熱心に取り組んでくれる人」や「プロジェクトに興味を持ってくれる人」を挙げています。

学会やセミナーは、新たなネットワークを構築する良い機会です。新しい研究を発見したり、共同研究者候補に直接会ったりすることができます。学会に参加する場合は、必ず事前にエレベーター・ピッチを準備しておいてください。

また、学会は自身の研究を紹介する場でもあります。研究発表の依頼を受けた際は、新しい人間関係や研究のアイデアが生まれる可能性があるため、「イエス」と答えましょう。さらに、学術誌やブログに投稿することにより、自身の知名度をさらに高めることができます。そうすることにより、様々な人があなたの研究を見て、あなたの視点を探り、あなたの専門知識がどのように彼らの研究に貢献できるかを判断することができます。

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また、若手研究者は、専門的な組織に参加することにより共同研究の候補を見つけることができます。

共同研究者候補への連絡方法

共同研究者候補に連絡を取る際は、対面式ネットワーキングやEメール、電 話、ソーシャルメディア、LinkedInやCollaboratoryのようなオンラインプラットフォームを利用します。どの方法で自己紹介をするにしても、事前に時間をかけて相手候補をリサーチし、自分のアプローチに個性を持たせるようにします。

また、連絡を取る際は、時差や言葉の壁を考慮します。相手の文化を理解することも重要であり、事前に国や機関、部署について調べておく必要があります。

自己紹介では、自身について、専門分野、業績に関する3 - 6行程度の説明文を用意します。これは、文書でも口頭でも構いません。

連絡が取れたら、プロジェクトについてさらに話し合う時間を設けます。ここで、アイデアを共有し、お互いがどのように作業するのかを確認します。理想的には、一緒に仕事をするのが楽しく、仕事に貢献することができ、自身と同じ熱意を持っている人との共同研究です5

期待値の設定

研究協力プロジェクトの成功を予測する上で最も重要な要素の1つは、プロジェクトの期間中、目標と責任について効果的かつ継続的なコミュニケーションを確保することです。

正式に共同研究が始まる前に、プロジェクトに期待することを話し合いましょう。そのためには、プロジェクトの条件をまとめた合意書を正式に作成すべきです。関与の割合や予期される対応時間、主な期限、コンフリクトマネジメントの方法、各著者の認証方法などを確認します。

未来を想定

将来について考えるのに、早すぎるということはありません。共同研究を拡大する機会を探してください。その他の潜在的な候補者とのつながりも作ってください。たとえプロジェクトが思っていたほど成功しなかったとしても、築かれた関係性はキャリアを積む上でかけがえのないものとなります。

参考文献

  1. Bennett LM, Gadlin H. Collaboration and Team Science: From Theory to Practice. J Investig Med. 2012;60(5):768-775. doi:10.2310/JIM.0b013e318250871d.
  2. Leydesdorff L, Bornmann L, Wagner CS. The Relative Influences of Government Funding and International Collaboration on Citation Impact. J Assoc Inf Sci Technol. 2019;70(2):198-201. doi:10.1002/asi.24109.
  3. Eberle J, Stegmann K, Barrat A, Fischer F, Lund K. Initiating Scientific Collaborations Across Career Levels and Disciplines – A Network Analysis on Behavioral Data. Intern J Comput-Support Collab Learn. 2019;16:151-184. doi:10.1007/s11412-021-09345-7.
  4. Defazio D, Lockett A, Wright M. Funding Incentives, Collaborative Dynamics and Scientific Productivity: Evidence from the EU Framework Program. Research Policy. Research Policy. 2009; 28(2):293-305.
  5. Pedersen CL. How to pick a great scientific collaborator. Nature. 2022 May 13. doi: 10.1038/d41586-022-01323-9. Epub ahead of print. PMID: 35562500.
23-FLE-30701
Kenneth Buck, PhD
Kenneth Buck, PhD
細胞生物学を学んだKenは、ラトガース大学で博士号を取得し、その後イェール大学でポスドク研究を行い、再生する神経細胞の細胞運動性に関与する細胞骨格の動態とシグナル伝達機構について学びました。CSTでは、他の科学者と協働してマルチメディアによる科学コミュニケーションを構築しています。ビデオのスクリプトを書いているときや、スタジオにいるとき以外は、Kenの庭ともいえる岩でごつごつしたマサチューセッツ州ノースショアで、同僚と共にマウンテンバイクを乗り回しています。

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