CSTブログ: Lab Expectations

Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験中に起こると予測される事象や実験のヒント、コツ、情報などを紹介します。

細胞死のメカニズム:フェロトーシス

詳細を読む
投稿一覧

フェロトーシスは、近年報告されたプログラムされた細胞死の一形態であり、形態的、生化学的に明確な特徴があります。It does not result in the chromatin condensation observed during apoptosis or the loss of plasma membrane integrity that occurs during necrosis. むしろ、ミトコンドリアのクリステが減少してミトコンドリアが凝集し、膜密度が増加することが特徴です。

Ferritinと鉄の恒常性

フェロトーシスは鉄依存性の細胞死であり、過酸化脂質を増加させます。そのため、鉄の恒常性維持や酸化ストレスに寄与する経路で主に制御されています。鉄の恒常性維持の一部はFerritin (FTH) によって制御されています。Ferritinは鉄を無毒な形で輸送する役割を果たす巨大なタンパク質複合体です。Ferritinレベルは、フェリチノファジーと呼ばれるFerritinを標的とする選択的なオートファジープロセスによって制御されます。この経路には、核内受容体活性化補助因子4 (NCOA4) と呼ばれる鉄の選択的カーゴ受容体が関与します。フェロトーシスは、Deferoxamineなどの一般的な鉄キレート剤を用いることで阻害されることが分かっています。

酸化ストレスに対する防御

酸化ストレスに対する細胞防御を制御する経路が、フェロトーシスの軽減には重要です。Ferrostatin-1やLiproxstatin-1のような低分子の親油性フリーラジカル補足剤によってフェロトーシスを阻害することができます。特にグルタチオン経路は、重要な抗酸化防御経路であることが確認されています。このプロセスの中心となるのが代謝タンパク質であるGPX4 (Glutathione Peroxidase 4)で、GSHを酸化型グルタチオン (GSSH) に変換することで、細胞毒性のある脂質の過酸化を制限し、フェロトーシスから細胞を保護します。 グルタチオンペルオキシダーゼ経路は、グルタチオン (GSH) 合成に重要なSLC7A11SLC3A2 (4F2hc/CD98)のヘテロ二量体からなるアミノ酸アンチポーターSystem Xc-によってさらに制御されています。フェロトーシスを誘導する方法の1つとして、System Xc-の機能を直接阻害する化合物Erastinを用いる方法があります。

GPX4などの酸化ストレスに関与する遺伝子は、主に転写因子 NRF2によって制御されています。これはフェロトーシスに対する重要な防御として機能します。正常な状態では、NRF2の発現はKEAP1との相互作用を介して抑制されています。KEAP1はE3ユビキチンリガーゼ複合体の一部で、NRF2をプロテアソームよる分解に導きます。酸化ストレスによってKEAP1の構造が変化し、この相互作用が阻害されるとNRF2が安定化します。このプロセスはさらにオートファジー経路によって制御されており、オートファジーカーゴ受容体p62/SQSTM1がKEAP1-NRF2複合体を競合的に阻害することでNRF2が増加します。

フェロトーシス研究のための抗体ツール

フェロトーシスをモニターするツールとしては、薬理学的感受性​ (鉄キレート剤、抗酸化剤など)、標的分子 (GPX4、SCL7A11、Ferritin、NRF2など) の発現量の変化、活性酸素や脂質過酸化のモニタリング、グルタチオンアッセイなど、複数のアプローチが考えられます。

CSTは、これらやその他の抗体が含まれる抗体Samplerキットを提供しており、研究に関連のあるタンパク質の特定や、目標を立てるのに役立ちます。Ferroptosis Antibody Sampler Kit #29650

その他のリソース

詳細は、様々なタイプの細胞死に関与するメカニズムや細胞の形態、標的タンパク質をまとめたパンフレット「研究者向けガイド-細胞死のメカニズム」をダウンロードしてご覧ください。

eBook:研究者向けガイド「細胞死のメカニズム」

 

細胞死のメカニズムシリーズのその他のブログ記事を読む: 

アポトーシスなどのプログラム細胞死を起こした細胞を強固に検出するCST® TUNELキットの詳細はこちらをご覧ください。


参考文献

20-CEP-94379
Gary Kasof, PhD
Gary Kasof, PhD
Gary Kasof博士は抗体開発に携わるシニアリサーチフェローで、Cell Signaling Technologyに入社して17年になります。細胞死とオートファジーを中心に、複数の研究分野で1,000近くもの抗体のリリースに貢献してきました。CST入社前は、1995年にコロンビア大学で博士課程を修め、ラトガース大学とアストラゼネカでの勤務経験があります。

最近の投稿

CST創立25周年:抗体と革新を支え続けた四半世紀

今年、CSTは創立25周年を迎えます。この重要な節目を祝うとともに、研究用試薬業界がこの四半世紀でどのように...
Alexandra Foley2024年9月24日

優れた研究発表の準備と進め方

数か月にわたる実験の後、データと夜遅くまでにらめっこし、横に置いた軽食で凌ぐ日々を経て…
Alexandra Foley2024年9月18日

またしてもCSTはCiteAb社の最も引用された研究用抗体リストを独占

何年にもわたり、CST抗体は世界中の科学者により最も引用される研究用試薬であり続けています。なぜ、それが...
Alexandra Foley2024年9月11日
Powered by Translations.com GlobalLink Web SoftwarePowered by GlobalLink Web