CSTブログ: Lab Expectations

Cell Signaling Technology (CST) の公式ブログでは、実験中に起こると予測される事象や実験のヒント、コツ、情報などを紹介します。

助成金申請書を書く パート3:実験方法

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以前の投稿では、効果的な「重要性と革新性」のセクションの書き方について、問題の定義、およびその問題の解決法について高いレベルから俯瞰して書くことをお話しました。今回の投稿では、「実験方法」すなわち研究計画の概要についてお話します。ここでは、問題の解決を行うにあたって、どのように実験を遂行していくのかを正確に記載しなければなりません。

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実験方法のセクションを書く

申請書のどのセクションでも、それを構造化することによって、より理解しやすく完全なアプローチを書くことができるようになります。例えば、「重要性と革新性」のセクションで、あなたが研究戦略を「実現可能性の検証」と「前臨床試験」の二つのフェーズに分けたとしましょう。実験方法の全体的なアウトラインは、以下のように構造化することができます:

  •  フェーズI - 実現可能性の検証:
    • それぞれの目的について以下の項目を記載:
      • 論理的根拠と仮説
      • 実験的な戦略
        • マイルストーン 1
        • マイルストーン 2
      • データ収集と統計解析
      • 期待される結果、上手く行かない可能性、および代替的なアプローチ
      • フェーズIIへの移行のためのマイルストーン
      • フェーズIのタイムラインの概略図
  • フェーズII - 前臨床試験:
    • それぞれの目的について以下の項目を記載:
      • 論理的根拠と仮説
      • 実験的な戦略
        • 副次的目的 1
        • 副次的目的 2
      • マイルストーン
      • データ収集と統計解析
      • 期待される結果、上手く行かない可能性、および代替的なアプローチ
      • フェーズIIタイムラインの概略図

助成金のレビュアーが、あなたが提案した実験技術に精通していると仮定しないでください。この研究を理解するために、以前に報告された研究が重要である場合には、自分の研究室から発表されたものだけでなく、関連する参照文献を全て含めてください。複雑なプロトコールの説明を試みるときには、大量のテキストを使うよりも、フローチャートや概略図を使ってください。それぞれの目的の論理的根拠と仮説を述べ、提案する実験方法、分析、代替手段がどのようにその目的に取り組むかを記載してください。重複する部分があっても構いません。昔から語り継がれてきた、古い格言が良い教訓となります:「初めにこれから何を話すかを話し、そして内容を話し、最後に何を話したかを話しなさい。」

「実験方法」のセクションは高度に技術的な内容を含みますし、あなたのその分野での専門性を示すことも重要です。そのため、予備研究に関してはできる限り多くの情報を記載してください。さらに、単純明快で、見やすく、洗練された図は、あなたの申請書の概要と目的を明確に示し、ストーリーを伝えるために必要不可欠です。それはそれとして、レビュアーは、図の細かい説明文を読むために目を凝らしたくはありません。そのため、必ず8ポイントよりも大きいフォントサイズで、簡潔な説明文を載せてください!

上手くいかない可能性と代替的なアプローチへの取り組み

実験が上手くいかない可能性と、その場合の代替的アプローチの検討は、 見落とされがちではありますが 非常に重要です。科学研究は常に順調に進むわけではなく、仮に進んだとしても、実験計画と結果が完全一致することは稀なことです。どのような不測の事態が予想されるか、そしてその予定にない問題がタイムラインや予算に与える影響を知っておくことは、戦略を立てる上で不可欠です。

例えば、がんの新たな標的を追求していて、標的との関連性の測定に使えるかもしれない血漿バイオマーカーを特定したとします。副次的な目的の一つが、患者サンプル中のこのバイオマーカーを測定するELISAを開発することであり、そのサンプルは別の施設の共同研究者からの入手を計画しているとします。臨床サンプルは貴重であること、さらに共同研究者との関係性を考慮すると、あなたは確実に再現性のある信頼できるデータを得る必要があります。ELISAが機能しなかったら何が起きるでしょう?アッセイごとの変動が高すぎたらどうでしょうか?アッセイを検証し、プレートを製造するCROが見つからなかったらどうでしょうか?レビュアーは、あなたがこれらの可能性を考慮していて、適切に不測の事態を想定しているかどうかをみています。

他の投稿でも強調しましたように、あなたの実験方法について、指導者や同僚にフィードバックを依頼してください。特にあなたの研究の分野外の人に見てもらうことが重要です。彼らは、あなたの実験方法における、潜在的なギャップや誤解を招くポイントについて、貴重な意見をくれるはずです。彼らは、あなたの提案が実現可能かどうかについての意見もくれるでしょう。あなたは本当にこの研究ができるでしょうか?それとも、無理難題に取り組もうとしているのでしょうか?

「実験方法」のセクションは、申請書の大部分を占める場所であり、レビュアーから最も注目される可能性が高い場所でもあります。 あなたが彼らを「目的」のページで惹きつけることができたら、の話になりますが!このセクションを、あなたの提案の価値と、あなたの研究チームがこの研究をするのにふさわしいことを示すための機会として活用してください。

ブログ投稿記事「助成金申請書を書く」シリーズはこちらからご覧いただけます:

注意:申請書の記入例は、国立アレルギー感染病研究所 (National Institute of Allergy and Infectious Diseases) から提供されています。これは、どのような申請書が助成金を得ることができたかを知るのに良い例となります!

Tamar Aprahamian, PhD
Tamar Aprahamian, PhD
Tamar Aprahamian博士は、JetPub Scientific Communications社の創始者であり、ライフサイエンス業界や学術機関向けに戦略的サポートと質の高いライティングサービスを提供しています。以前は、学術機関およびバイオテクノロジー関連のベンチャー企業で勤務していました。また、助成金研究部門や学術誌の査読者を務めるほか、研究プログラムに関連した38本の論文を発表しています。Tamar博士は、タフツ大学で細胞生物学、分子生物学、発生生物学の博士号を取得しました。

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