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免疫組織化学染色を成功させる4つのステップ:ステップ2、ステップ3、ステップ4

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これは、お使いのIHCプロトコールの最適化方法に関する2回シリーズの第2回です。パート1では抗原賦活化の原則を紹介しました。まだご覧になっていない方はこちらをクリックしてください。でも組織の準備も終わり次に進む用意のできている方は、一緒に染色プロトコールの次のステップに進みましょう。

ステップ2:一次抗体の希釈液

優れた免疫組織化学染色 (IHC) プロトコールは、特異的な結合が起こるための適切な条件を提示しています。ですので、検出しようとしている特定の抗原-エピトープ間の相互作用の抗体希釈液のイオン強度とpHをキャリブレーションすることが重要です。この目的には、TBST (137 mM NaCl,20 mM Tris, 0.1% Tween-20, pH 7.6) が最もよく使われます。これは生理食塩水と等浸透圧であり、生理的pH (7.2-7.6) 付近にバッファーする役割を果たしています。これは抗体と抗原が、免疫系の相互作用の自然なプロセスで行き当たる環境に似せた条件です。SignalStain® Antibody Diluent #8112このためTBSTは多くの抗体で機能しますが、すべてではありません。例えばPLK1 (208G4) Rabbit mAbはTBSTで希釈するとシグナルの量が限られていましたが、SignalStain® Antibody Diluent (CST #8112) で希釈するとシグナルが改善しました (B)。

この他商標の付いた希釈液がいくつか市販されています。それぞれが、異なるバッファー構成因子、界面活性剤および/またはタンパク質安定剤の混合から成り立っています。この場合商標付き抗体希釈混合液の方が、TBSTよりPLK1 (208G4) とそのエピトープ間の相互作用をより良くサポートしました。市販希釈混合液にはそれぞれ商標が付いているため、使用に適しているかどうかはケースバイケースで研究者が決める必要があります。

次は...

ステップ3:検出試薬:

検出試薬は、一次抗体に直接、または二次抗体の媒介物を通して間接的に結合することにより、酵素 (通常は西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP)) を特異的なエピトープの部位まで運びます。HRPの発色基質が導入されると沈殿物が発生し、一次抗体/抗原の結合部位に沈着し、顕微鏡で見えるようになります。

この相互作用は一般的に、ビオチンとストレプトアビジンにより促進されます。二次抗体はSignalStain® Boost IHC Reagent #8114ビオチンで標識され、それによりストレプトアビジンに結合し、とストレプトアビジン分子そのものはHRPに結合します。この方法にはいくつかの制限があります。まず、Streptavidin-HRP複合体は内在性のビオチンに結合し、多量のバックグラウンドシグナルを引き起こします。内因性ビオチンは、特にHIER (ステップ1参照) を使うときに、埋まっているビオチンが他のエピトープと共に露呈してしまうという問題があります。  2番目に、発色シグナルの強度は存在する酵素の量によって決まります (すなわち酵素が多ければ多いほど強度が上がる) が、一次抗体/抗原の相互作用の部位に結合するHRP分子の数は、複合体に結合しているストレプトアビジン分子の数に制限されます。

ポリマーベースのシステムは、ビオチンベースのシステムの制限を回避できるので人気が高まっています。この方法では、デキストランなどのポリマーとHRP酵素を同時に、二次抗体に結合させます。ポリマーの骨格のため、ビオチン-Streptavidin-HRP複合体を一次抗体/抗原部位に構築する必要がなく、ビオチンベースのバックグラウンドノイズが起きる可能性がありません。また、ストレプトアビジンシステムより多くのHRP分子を結合させることができるため、より少ない数の一次抗体/抗原結合部位でシグナルが比例的に多くなり、アッセイの感度が増します。

PLK1 (208G4) Rabbit mAbを評価するためにビオチンベースの検出システムを使ったとき、プロトコール関連製品を変えても十分に強いシグナルを得ることができませんでした。そのため、感度のより高いポリマーベースの検出方法に切り替えました。  シグナル (C) の強度はかなり増しましたが、私たちの標準には達していませんでした。

でももう1つ隠し技がありました…

ステップ4:発色基質

DAB (3,3'-ジアミノベンジジン) やAEC (3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、またはVector® NovaRED™などの発色基質は、検出試薬に結合したHRPと相互作用する基質です。  多様な色を多様な強度で発色する発色基質がいくつかあります。実験をデザインするときは、対比染色に対し適切な色を発色し、検出しようとしている抗原を賦活化するのに十分な強度の発色基質を選びましょう。

元々は、PLK1 (208G4) Rabbit mAbの試験にはVector® NovaRED™ (Vector Laboratories) を発色基質として使用し、明るい赤色の沈殿が得られました。しかしNovaREDでは十分なシグナルが得られなかったため、より強度なダークブラウンのDABに切り替えました。DAB基質を特定の希釈液と検出システムと組み合わせて得られたシグナル (D) は十分な強度があり、特定のコンパニオン関連製品を含む既定のプロトコールと共にIHCで使うのには、最終的にPLK1 (208G4) Rabbit mAbを推奨することができました。IHCサンプルすべて

同様なプロトコール最適化により、ご自身のIHC研究も最良のものとすることができます。他のヒントは、免疫組織化学染色を成功させるためのCSTガイドをダウンロードしてご覧ください。

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